過去の取扱事例にもとづくQ&Aです。 これ以外の疑問点やご質問もお気軽にお尋ねください。 こんなことを相談できるのかなと思うようなことでも、法律で解決できることはたくさんあります。また、問題が大きくなる前にご相談いただくことで、容易に解決することもあります。心配なことや疑問に思っていることがありましたら、お早めにご相談ください。

投資被害

Q

証券会社からレバレッジをきかせた投資信託がある,安全であると勧誘されて購入しましたが,元金の大半を失いました。証券会社相手に損害賠償請求できるでしょうか。

A

通常の投資信託は,公社債や株式などを投資対象にし,プロに売り買いを委ねる有価証券取引ですが,レバレッジ(てこ)をきかせた投資信託は,先物取引やオプション取引などデリバティブ(金融派生商品)を投資対象とするため,リスクが高い金融商品です。リスクの説明が不十分であることを証明できた訴訟では被害者に有利な和解が成立し,証券会社に賠償金を支払わせることができた事例があります。投資信託も注意が必要です。

土地の時効取得

Q

自宅の土地の一部が他人名義になっていたことが何十年後かにわかりました。どうすればよいのでしょうか。

A

名義人相手に所有権移転登記手続請求訴訟を提起します。他人の土地でも,自己の所有地として占有を継続していた場合,10年経過すれば占有者は他人の土地を時効取得できます。他人の土地であることを知っていても,20年で時効が完成します。土地の「泥棒」でも権利を取得するのかと疑問に思われるかもしれませんが,名義人が誰か分からず,連絡をとる方法がないまま時間が経過する場合もあり,あながち不合理とは言えない制度です。多くの事例では判決を得て名義変更できています。

相続の放棄

Q

父死亡後1年経過してから借金があることがわかりました。死亡時には遺産もなかったので相続の放棄はしませんでしたが,今からでも相続放棄はできますか。

A

相続の放棄は,被相続人が死亡した後,自分が相続人であることを知ってから3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出しなければなりません。しかし,死亡当時,遺産もなく,また負債(借金)もないと思っていた場合,通常は相続放棄までしないことが多いでしょう。そうした場合であっても,後で借金があることがわかってから3か月以内に相続放棄の手続をとってください。遺産があった場合は少し問題です。弁護士にご相談ください。

借地権者の保護

Q

建物所有目的で,期間30年・更新付の約束で,土地を賃借して,土地上に建物を建てて生活してきました。地代は滞りなく支払ってきました。ところが,期間はまだ20年以上残っているのに,地主さんの代理人という不動産業者から,再開発したいので土地を明け渡してもらいたいとの連絡を受けました。業者の要求に応じなければなりませんか。

A

応じる必要はありません。借地借家法の適用があるからです。

派遣切り

Q

派遣社員として働いていましたが,派遣会社が派遣先から契約を打ち切られたということで退職を求められました。応じないといけないのでしょうか。

A

応じる必要はありません。
 派遣社員は,あくまで派遣元に雇用されているので,派遣会社が派遣先から契約を打ち切られても,派遣社員と派遣会社の雇用契約には影響しません。そのようなケースで派遣社員が退職に応じず解雇された事例を扱ったこともありますが,判決でも解雇無効が認められ,解雇された後の給与の請求が認められています。

葬儀費用の負担

Q

父が亡くなり,長男が喪主として葬儀を行いましたが,その後,葬儀費用の分担を請求してきました。払わないといけませんか。

A

葬儀費用を分担する合意をしていたような場合を除いて,払う必要はありません。いろいろな考えがありますが,基本的には,葬儀費用は葬儀を主宰した人が負担すべきものと考えられており,相続人だからといって分担する義務はありません。そのような請求がなされた事案の判決でも,そうした請求は認められませんでした。

残業代請求

Q

前の職場を辞めましたが、残業代を支払ってもらっていないので、今からでも請求したいと思います。手元には一部のタイムカードしかありませんが、可能ですか。

A

退職してから残業代の請求をしたいという依頼がありました。手元には、辞める直前の1か月分のタイムカードしかありませんでした。そこで1か月分の残業代を計算し、それをもとに2年分の残業代を推定計算して訴訟を提起しました。
 訴訟提起後、相手方の会社からタイムカードを提出させ、計算をし直し、その計算に基づく残業代を支払うことで和解が成立しました。
 このように、手元に全てのタイムカードが無くても、残業代請求をすることは可能です。

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