2012年元旦

三重合同法律事務所事務所コラム

2012年1月

2012年元旦


 2012年が始まりました。  昨年は、東日本大震災、原発事故、台風被害、集中豪雨、豪雷があり、海外でも洪水、ハリケーン、大地震等の数々の被害がありました。  自然災害はさけることはできませんが、原発事故や温暖化による災害は人災です。もはや、「不都合な真実」から目を背けることはできません。早急に対策をとらなければ、生じる被害はますます拡大するでしょう。  正しい情報を知り、一人ひとりが行動しなくてはいけません。当事務所も、問題解決のために、一人ひとりが、一層活発に行動する年にしたいと思います。


共通番号制を知ってますか

弁護士 石坂 俊雄

ishiszaka

1  国民全てに番号をつけて管理する
 民主党政府は、「税と社会保障の一体改革」を実現するために、国民全部に共通番号をつけ、全ての取引や所得を番号で管理すれば、「公正な税制を実現でき」、「低所得者で資産が乏しいなど真に手をさしのべるべき人に対してきめ細かな社会保障ができる」と述べております。

2  全ての税金を把握することはできない
 しかし、政府は、国民に共通番号をつけても、「全ての取引や所得の把握し、不正申告や不正受給をなくすのは困難」であり、「所事業得や海外資産・取引情報には限界がある」と認めております。
 また、この共通番号は、株取引や株式の配当所得については、番号で名寄せはいたしません。
 株取引などは分離課税ですので税率は10%前後で低いため、このような資産を多く持っている高額所得者に税金がかからず、汗水たらして働いている人の収入には、アルバイトの収入まで名寄せされ合算されて税金がかかることになります。

3  共通番号制度の本当の目的
 共通番号制度は、社会保障費を削減を求めている経済界の言い始めたことです。本当の目的は、医療保険料や介護保険料等の額と医療費や介護費用をどのくらいい使っているかを個人ごとに番号を使って名寄せすることです。これを社会保障個人会計といいます。
 これが実行されると、「あなたは税金や保険料をこの程度しか納めていないのに、多額の医療費や介護費用を使っていますから使いすぎです。負担した額に見合う受給しか認めません。」という流れになってくる可能性が高いのです。

4  情報が漏れたら重大な被害が出る。
 共通番号は、様々の機関が持っている情報をデーターマッチングしますので、当初は税と社会保障の分野に利用しますが、将来的には拡大して、民間(医療・銀行・保険等)までに及びます。
 すると、番号で 集積された個人情報は、病気や資産、保険等にまで及びますので、これらの情報が漏れたら大変なことになります。
 最近では、軍事産業である三菱重工や衆議院がサイバー攻撃を受けて多くの情報が流出しております。また、番号制度を持っている韓国では、2011年7月に3500万人分の個人情報(住民登録番号、携帯電話番号)が流出しました。これは韓国の人口の半分に当たる数です。
 このように、多くのセンシテブな個人情報が流出したときの被害を考えると、国民に共通番号をつけるべきでないといえます。

5  費用対効果
 政府は、この共通番号の初期費用として5000億円を超えるといい、ランニングコストも年間350億円ともいわれています。さらに民間のシステム開発費用等を考えるともっと費用は膨らんでいきます。
 財政難の今、必要性に乏しく、漏洩したら取り返しのつかない被害が発生する共通番号制に税金を使う意味はありません。


SNSを使いこなす

弁護士 伊藤 誠基

ito

SNSとは
 ツイッター,ブログなどを総称してソーシャルネットワーキングサービスと呼ぶそうです。事業者側から見たネーミングですが,会員登録(多くは無料)すると誰もが容易にネットで発信ができ,会員間あるいはネット閲覧者との間でコミュニケーションが構築できる点に大きな特徴があります。

震災時に威力発揮
 東日本大震災時にもSNSが被害状況の伝達や安否情報の確認に効果があったと報告されています。非常時のコミュニケーション手段として既に定着しているのは携帯電話ですが,一度に大勢が利用した場合電話回線が混雑し,つながりにくくなることがあります。しかし,SNSはインターネットを利用するので電話回線よりはつながりやすかったようです。

当事務所もツイッターやってます
 三重合同法律事務所のホームページにツイッターのボタンがありますので,そこからお入り下さい。ツイッターはリアルタイムで思いつきをつぶやくところに醍醐味があるのですが,当事務所ではなるべく有益な情報を素早く伝えることに力点を置いています。そしてもし気に入れば,フォローワーになって下さい。といってもこの手の道具は実際に使ってみないとやり方が分かりません。そのためには登録していただくことが必要になってきます。

スマホで利用
 このサービスはインターネットに接続しているパソコンで利用するのが一般です。ところが,スマートホンならパソコンがなくても,またパソコンが使えなくても誰でも手軽にネット接続ができて,SNSも常時利用できるのが最大の利点です。
 私は,ツイッター,私専用のブログの外メールやマスコミ各社のニュース記事配信ソフトをスマホにダウンロードして使っています。ソフトの数も何十万もあるようで,携帯電話の機能をはるかにしのぎます。

トラブルの危険
 なんでも好きな発言ができる反面,匿名による思わぬ反撃を受ける危険もあります。誹謗中傷,名誉毀損の書き込みをされてしまうとネット上から削除することは並大抵ではありません。カレーの具にジャガイモを入れないのは考えられないと書いたら,入れないのが正統だとか執拗に反撃されたという笑えないトラブルも起こったりします(日経パソコンの記事より)。

 それはともかく,今年も皆さまに役に立つ情報提供ができるようSNSを使いこなしていきたいと考えておりますので,事務所のホームページにご注目いただければ幸いです。


3年目を迎える裁判員制度

弁護士 加藤 寛崇

画像・加藤

 2011年には,私が担当した裁判員裁判対象事件で判決まで至った事件が1件ありました。通常であれば逮捕から2~3ヶ月で終わるような事件だったのに4ヶ月以上かかり,被告人は,執行猶予付判決を受けるまで勾留され続けていました。事件は,あえて裁判員裁判にする意味は全くないまま終了し,判決の量刑理由では「同種事案と比較しても,特に悪質とまでは評価できない」などと,「市民感覚」で判断されたとは考えにくい内容も散見されました。

 もっとも,4ヶ月程度で済んだのはマシな方です。全国的にも,裁判員裁判事件の滞留と長期化は続いています。事件数については,起訴されて終了していない事件数が2010年1月末時点で1066件だったところ,2011年1月末では1319件,同年7月末では1428件と,増加の一途をたどっています。起訴されてから終了するまでの審理期間も,制度開始後から2010年1月末までの事件では平均5.5ヶ月だったところ,2011年1月末までの事件では平均8ヶ月,同年7月末までの事件では平均8.3ヶ月と,順調に長期化しています。

 被告人の負担と不利益になっているだけではありません。裁判員や裁判員候補者が裁判所に出てくるために支払われる日当等は,すべて税金です。簡単な事件でも,これで数十万円は費やされる計算になります。それで何か積極的意義があればともかく,何の積極的意義もないので,単なる損失です。

 もっとも,日当等が払われても裁判員になりたくない人は多いようです。裁判員選任手続でも,仕事の都合などを理由に辞退を申し出る人が何人かいました。本当は,仕事の都合で辞退するには,「重要な用務」に従事しており,仕事をしないと「著しい損害が生じるおそれ」が必要なのですが,自己申告で簡単に辞退は認められています。2011年7月末までの事件で,選定された裁判員候補者約21万人のうち,半数以上の約12万人が何らかの理由で辞退を認められているわけですから,辞退率も尋常ではありません。

 このように嫌われている裁判員制度は,施行から3年後に見直すという規定が裁判員法に入っていますが,あくまで,裁判員裁判制度が「司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるよう」に見直すというものです。被告人の不利益があるかどうか,支持されているかどうかといった観点から見直すものではありません。裁判員裁判に人民大衆を動員していく制度として十分機能しているかどうかという観点からの見直しです。この「見直し」の機会に制度の弊害を少しでも是正しようというのは,およそ実現することはない虚しい試みです。根本が間違っている制度は,即時廃止することこそが正しい「見直し」にほかなりません。


大津波・伝えるべきこと

弁護士 村田 正人

 8月15日と16日、岩手県陸前高田市を馬場啓丞弁護士と2人で視察した。三重弁護士会の代表して災害支援のあり方を調べるためである。派遣は1週間前に決った。宿などの予約は中弁連がしてくれたが、迎えのない自力旅行である。お盆のことをすっかり忘れていた。新幹線の切符を手配したときには、東京→一ノ関間の指定は売り切れていた。
 1泊目は一ノ関の東横イン。駅近くのマツダレンタカーでデミオを借りて9時に出発し、ひたすら走ること2時間。ようやく陸前高田市に到着した。
 廃車が道路脇に放置されており、ここまで大津波が来たことがわかる。お盆のためか、市の中心部への道路は渋滞して進まない。右にローソン、左にファミマの仮設店舗がある。坂を上り、右に大きくカーブした頂上あたりの右側に、山を切り開いて高田市役所の新しい仮設庁舎があった。坂を下ると平地が開けた。眼下の被災地は、驚くべき様相を呈していた。廃車の山、大津波に襲われた広大な平地には、高田病院や高田市庁舎の建物が点となって残っていた。水がひいていないところもある。海岸沿いのメイン道路を建設廃材の山をいくつも左に見て走る。曲がった大船渡線の線路、壊れた堤防、牡蠣がてっぺんにまで付着した電柱。道路の漏水個所を徐行して通過し、高台のセンターハウスに向かった。
 コンビニ弁当を食べていると、部屋の一角に喫茶コーナーがあった。うっかり注文してしまう。それは、被災者のためのコーナーであった。話しを聞くと、大阪から来たボランティアという。キャンピングカーで2か月滞在しており明日には帰るとのこと。コーヒーのごちそうになった。
 昼食後、中心部に戻ると、壊れた建物の前で遺族がお供えをあげていた。基礎コンだけが残っている敷地には、あちこちにお花が添えられていた。
 午後からの誰もいない中学校舎での法律相談は、両親を亡くした遺児を引き取っている夫婦の相談だった。小学6年男児は、両親が残した負債のことを心配しているといい、法的には誰に育ててもらえるのかと叔母夫婦に聞くので、涙が出てくると話す。未成年後見の説明を地元弁護士がした。これまでの法律相談の内容は、支援金、相続、労災の件が多いという。  午後3時前、大船渡市を経由して、釜石市、大槌町まで海岸べりを走った。壊れた信号の代わりに大阪府警の警官が交通整理に当たっていた。釜石市は、1階から3階まで破壊された鉄筋コンクリートが多い。人影はまばらで自動車が多く道路は渋滞気味。休憩所もトイレもない。大槌町の仮設コンビニまで走行した。とおの民宿で1泊し、翌日、再度、陸前高田市に向かった。仮設テントを探して第1中学校に行くと、岩手医師会のコンテナが9個あり、小児科などいくつもの専門医師の診察が案内表示があった。医師会の動きは適確のようだ。「此処より下に家を建てるな」。
 過去2度の大津波で壊滅的な被害を受けた岩手県宮古市の集落には、先人が石碑に刻んだ教えの石碑があるという。亡くなった方のご冥福を祈りつつ、来るべき大震災と津波被害に備えなければならないと何度も強く感じた。


法律紹介ー家事事件手続法について

弁護士 森 一恵

mori家事事件手続法の成立の経緯
 2011(平成23)年5月19日、家事事件手続方が成立しました。家事事件手続法とは、夫婦・親子・成年後見・相続など家事事件(家事審判及び家事調停に関する事件)の手続について定められた法律です。
 従来、家事事件手続については、家事審判法で規定されていました。しかし、家事審判法は昭和22年に成立した古い法律であるため、利用しにくい点があったり、現代社会に適合していないなどの問題点がありました。
 家事事件手続を国民にとって利用しやすく、現代社会に適合した内容のものにするため、家事審判法の見直しが行われ、家事事件手続法が成立しました。

家事事件手続法で規定された主な制度
1 裁判所及び当事者の責務など基本的事項に関する規定の新設
 従来の家事審判法では、裁判所及び当事者の責務など基本的事項に関する規定がなされていませんでした。そこで、家事事件手続法では「裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に開示事件の手続を追行しなければならない」(第2条)として、裁判所及び当事者の責務を新設しました。
2 記録の閲覧に関する手続規定の充実
 従来の家事審判法では、記録の閲覧については家事審判規則に規定があるだけで、家事審判法自体には規定がなされていませんでした。そこで、家事事件手続法では「当事者又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧若しくは謄写……を請求することができる」(第47条1項)、
 「家庭裁判所は、当事者から前2項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない」(第47条2項)として、記録の閲覧に関する手続規定の充実をはかりました。
 他方「家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ又は当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず、同項の申立てを許可しないことができる」(第47条4項)として、事件関係者のプライバシーにも配慮する規定を整備しました。
3 音声の送受信による通話の方法による手続(電話会議システム)の新設
 従来の家事審判法では、電話会議システム等に関する規定がありませんでした。当事者が遠隔地に居住している場合でも、当事者は審判期日の都度、事件の係属する遠隔地の裁判所に赴かなければなりませんでした。そこで、家事事件手続法では「家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法(電話会議システム)によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる」として(第54条)、電話会議システムを新設し、遠隔地に居住する当事者の利便性の向上をはかりました。

家事審判手続法施行に向けて
 家事事件手続法は2013(平成25)年頃に施行される見込みです。弁護士会では家事事件手続法が施行された後に円滑に対応できるよう、家事事件手続法の会員向け研修や裁判所との運用懇談会などを実施しています。
 私も、家事事件手続法がいっそう国民にとって利用しやすいものになるよう、研修や懇談会を通じて知識の習得や運用への提言を行っていきたいと考えます。
 今年もよろしく御願いします。

 





ページのトップに戻る