2013年元旦

三重合同法律事務所事務所コラム

2013年1月

2013年元旦


 新年明けましておめでとうございます。  東日本大震災から2年が経過しようとしておりますが、政府と東京電力の被災地及び被災者に対する復興・支援対策は進んでおりません。  総選挙は自民党が圧勝しましたが、基本的な政策は、私達にとって良い方向に向うことは期待できません。  めざすべき社会は、原子力に頼る社会から自然エネルギーの方向へ、社会保障制度と税の改革は、富の再配分の観点から、大企業、富裕層への課税、所得税の累進課税の強化など、税制全体に対する検討がなされなければなりません。  少しでも、住みやすい社会を創るために、所員一同、今年も皆様と一緒に仕事ができたらと願っております。  本年も宜しくお願いいたします。


夢がある。

弁護士 村田 正人

 徳光和夫さんが「僕には夢がある~希望がある~そして持病がある~♪」と歌うテレビをみると、妙に親近感を覚えます。3月末に、午前3時か4時頃、背中が3日続けて痛み、ハートセンターで見てもらいました。ご近所が、背中の痛みでハートセンターで見てもらったところ、冠動脈の血管が95%つまっているのが見つかり、すぐに車椅子入院でステント手術を受けたという話を聞いていたからです。検査の結果、私の背中の痛みは、整形からくる痛みでしたが、たまたま50%から75%つまっている箇所が3箇所も見つかり、6か月以内にバイパス手術を受けなければならないことになりました。手術は10月4日に順天堂大学でしてもらう段取りになりましたが、運悪く、7月16日の真夏日に庭の剪定作業で大汗をかき、さらにプールで泳いだ後の午後9時30分頃のことでした。突然、左胸に強い痛みを感じました。冷や汗をかき、意識がもうろうとして身動きがとれず車の運転席にうずくまってしまいました。幸い、妻がそばにいたので、救急車でハートセンターに運んでもらい、午後10時30分頃から、休日であるのに自宅から駆けつけた院長先生のもと、ステント手術をしてもらい、一命をとりとめました。術前、もうだめだと観念し、妻に伝える言葉を伝えたほどでした。心筋梗塞という病名でした。

 倒れた時、妻がいなければ、危なかったかもしれません。その後、8、9月と再発に気をつけて過ごし、10月に天野篤先生のもとで心臓のバイパス手術を受けました。倒れるまで、動脈硬化がこうも進んでいるとの自覚もなく、仕事づけの日々を送ってきましたが、大いに改める時期が来ているようです。

 胸部を開いたので15cmの長さの縫合傷が残りました。10月から3か月間は自動車の運転も禁止とされ、胸部バンドをつけて心臓リハビリに努めています。仕事の復帰は2013年1月からになりそうです。休業中、沢山の方々にご心配とご迷惑をおかけし、感謝とお詫びを申しあげます。

 ロボットを造ると言って工学部に進学した息子が、数年前、なにを思ったのか、突然進路を変えて司法試験を受けたいと言い出したときは、見通しのない進路変更に反対しましたが、弁護士になってくれるようなので、一緒に仕事をして私のノウハウを受け継がせなければとの思いでいます。多くの事件で勝訴したいし、海外旅行にも行って見聞を広めたいし、夢が実現できる年にしたいと思っています。


TPPて何ですか

弁護士 石坂 俊雄

皆様、新年あけましておめでとうございます。
今年は、少し固い話をすることにしました。ご隠居と与太郎の対話です。

与太郎:ご隠居、TPPて何のことですか。

ご隠居:TPPは、「環太平洋パートナーシップ」と訳されていて、現在、
    太平洋を囲む9カ国が加盟している貿易自由化を目指す経済的枠組なんだよ。

与太郎:TPPに入る何か得するの。

ご隠居:政府は、TPPに乗り遅れると大変だから、加入したいと言っているね。
    でも、TPPの中心にどかっと座っているのはアメリカでね、アメリカは、
    主に日本に対する輸出を拡大し、自国の財政赤字の削減をねらっているんだ。

与太郎:アメリカは、日本に入ってもらいたいの。

ご隠居:TPPに日本が入るとアメリカと日本で国民総所得ベースで加盟国全体の80%を
    占めることとなるから、日本が入らないとアメリカにとってメリットがないのさ。

与太郎:TPPに入るとどんなことになるの。

ご隠居:TPPに入ると外国と貿易をする際の関税がゼロになるので、
    輸出入をしやくすなるのさ。
    また、関税以外の非関税障壁といわれる各国の諸々の規制を撤廃する
    ことにもなるのだ。

与太郎:少し分かりにくいな、具体的には何がどうなるの。

ご隠居:関税がなくなるとアメリカから安い農産物が入ってきて、日本の農業が壊滅的打撃を
    受けるとか、アメリカの保険会社の算入により国民皆保険が崩されるとか言われてい
    るね。

与太郎:農業と医療が問題なのか。

ご隠居:それだけではないよ。
    食料では、牛肉の月齢制限の撤廃によりBSE牛が入ってくる危険があるとか、
    農薬の規制緩和があり、日本では使われない農薬が使われた食品が入ってくるね。
    金融では、ゆうちょ、かんぽなどのお金を国内で運用する義務づけが撤廃されるので、
    日本の我々の預貯金がアメリカに流れる可能性が大きくなるね。
    また、公共事業では、外国企業も国内企業と同等に扱えといわれるから、
    事業をする際に地元企業を選定することができなくなり、地方が疲弊するね。
    このように、ありとあらゆる取引、サービスなどに対する規制が取っ払られこととなり、
    多国籍企業が商売をしやすくなる環境がつくらていくことになるんだ。

与太郎:ISD条項て何。

ご隠居:ISD条項とは、投資家対国家の紛争解決をする機関が
    設置されており、投資家がその国の規制が企業にとって都合が悪いと考えると国を
    訴えることができる制度さ。
    今までの裁決では、アメリカの企業に有利な裁決がなされることが多く、
    この裁決に不服でも上訴することはできないのが問題だね。

与太郎:だいたい分かったよ。ところで、ご隠居は、今年もマラソン大会にでるの。

ご隠居:いいこと聞いてくれたね。今年も、年相応に走るつもりだよ。

与太郎:年寄りの冷や水といわれないようにしてよ。


さなだ虫は離婚できない

加藤 寛崇

 芸能界には全く興味がありませんが、最近、ある芸能人夫妻の離婚訴訟の一審判決で離婚が認められたとの報道がありました。

 この夫妻は、別居期間が2年間程度と比較的短めであったことから離婚が認められないのではないかという意見もあったようですが、婚姻期間の短さなどからすれば、認められて当然のケースだと思います(報道から得た情報に基づく印象なので、実際のところは、わかりませんが。)。そもそも、訴訟に持ち込むほど一方が離婚を強く求めているのであれば、婚姻関係を維持しても仲が修復できるわけもないので、原則として離婚を認めればいいことです。実際、そうしたケースで一方が離婚を拒否していても、本当に婚姻関係を続けていきたいと考えているわけではなく、婚姻費用(生活費)を負担させ続けたいなどの思惑から、そうしているだけの場合が圧倒的多数でしょう。もちろん、離婚を認めた場合に、一方の生活が困窮するといった問題はあり得ますが、それは、公的なものも含めた離婚に伴う給付でフォローすればよいことです。真実は双方とも婚姻関係を続けてきたいと考えていないのに、無理に婚姻関係を維持させるのは無益なことです。

 現在の日本国の人間は、少なくとも建前上は、自由に自己の意思で婚姻関係を形成します。しかし、生き物によってはそういうわけにもいきません。さなだ虫という生き物は、その体は無数の片節から成り、その片節ごとに雌雄一対の生殖器があって自己受精して卵を産み出しています。完全に固定化され離婚できない「夫婦」の姿があるといえます。F.エンゲルスは言っています「もし厳格な一夫一婦が至高の美徳であるとすれば、さなだ虫が栄冠を受けるわけで、さなだ虫は、50ないし200のその片節つまり体節のどれにも完全な雌と雄の生殖器官があり、それぞれこの体節内で自己交接して全生涯をおくるのである。」(『家族・私有財産・国家の起源』)。

 人間は、さなだ虫ではなく自己の意思で選択して行動できるわけですから、自己の意思に反して、さなだ虫の真似をして固定化された雌雄関係を続ける必要もないことです。F.エンゲルスは言っています「愛情がはっきりなくなるか、あるいは新しい情熱的な恋愛によって駆逐される場合には、離婚が双方にとっても社会にとっても善事になる。ただ、離婚訴訟という無益なぬかるみを人々がわたらずにすむようにすべきであろう。」(同前)。残念ながら、現在の法制度では、一方が拒否した場合には、離婚訴訟という無益なぬかるみは避けられませんが、弁護士としても、ぬかるみから速やかに抜け出して人間として生きていくためのサポートをしていきたいものです。


録音は証拠の王様です


伊藤 誠基

  護士が法律相談を受けた場合,ご相談の方に言い分を裏付ける証拠があるのか尋ねることがよくあります。  それは裁判になれば,証拠がなければいくら正しい言い分でも認められないからです。そういう意味では裁判とは非情なものです。  証拠にもいろいろあって,事件当事者の言い分も証拠と言えば証拠なんですが,相手方と言い分が違えば,殆ど価値がなくなることが多いです。  ところが,書類や物的証拠は極めて信用性が高いという評価を受けます。もっとも,肝心なことを証明してくれる証拠でないと意味はありませんが。  しかし,このような確実な証拠がそろっている事件というのはそう多くはありません。もしあればはじめからトラブルにならないからです。  というわけで弁護士は乏しい証拠の中で何とか依頼者のために有利な解決を導こうと奮闘するのですが,昨今のITなどの技術革新で確実な証拠を入手し易くなってきました。

 身近な例?では,不貞事件(配偶者の浮気)が発覚するのは大抵携帯電話記録(メール)からです。

 あるいは浮気が疑われる配偶者の車に携帯電話を忍び込ませ,現在位置サービスを利用すれば,浮気の現場を押さえることができます。実際にこの方法で夫の浮気現場に2回も踏み込んだ奥さんからお聞きしたことがあります。

 職場でのセクハラ,パワハラの相談も多くなってきましたが,まだ会社を辞めていなければ,録音することをお勧めします。ICコーダーという便利な録音機があって,簡単に長時間録音ができます。昔は録音テープでしたから録音するのが大変でしたが,デジタル録音機は音がしないので,相手に見破られることはありません。  よく秘密録音は許されるのかと聞かれることがありますが,自分の会話を録音するだけですし,盗聴ではないので違法ではありません。

 投資被害に遭われた方には,どのように騙されたのか,取引終了後でも担当者に電話をかけてもらって返金交渉を録音してもらっています。まだ事件にはなっていないので,担当者は不用意に過去自分が言ったことを認めることがあります。

 最後に注意事項ですが,こうしてとった証拠は直ぐに相手に伝えてはいけないということです。よい証拠でも初めから相手に示すと言い訳をされてしまうからです。相手に言う前に弁護士とご相談ください。  言った言わないの水掛け論に終止符を打つ録音は証拠の王様です。





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