2014年元旦

三重合同法律事務所事務所コラム

2014年1月

2014年元旦

 あけまして おめでとうございます。

 山本太郎参院議員や女優の藤原紀香のブログ登場で一躍脚光を浴びることになった自民党の「特定秘密保護法」。尖閣列島や竹島問題で中国や韓国との緊張が続いていることを理由に、自民党政府は「特定秘密保護法」の国家体制づくりを急いでいます。  アメリカ諜報機関は、世界35カ国首脳の通話を盗聴し、アメリカに盗聴されていたドイツのメルケル首相は、米国政府に抗議しましたが、日本でも情報統制がなされれば、政府による市民生活の監視行為を止める手だてがなくなります。東京オリンピック誘致の際に、福島原発の「汚染水は完全にコントロールできている」とうそをついた安部首相のもとで、東電が除染費用74億円分を支払い拒否していたことが、マスコミの国への情報公開請求で明るみに出ました。食品汚染や環境汚染の放射能データまで「「特別特定秘密」とされるおそれのある、際限のない運用をもたらす「特定秘密保護法」に、今後とも反対を続けていきたいと思います。


弁護士生活40年


弁護士 石坂 俊雄

1 最初は、オイルショック
私が弁護士になった昭和49年は、オイルショックの翌年で物価が上昇した年でありました。昭和60年からバブル経済が始まり、地価は高騰しましたが、商店街は崩壊していくという時代を過ごし、平成3年には、バブルがはじけ、その後、デフレ経済となり、失われた20年といわれる時期が継続して現在にいたております。そして、増税をひかえ国民の不満が出てくることをおそれ、特定秘密という理由で、都合の悪い情報は、国民に見せないようにする社会が始まりつつあります。

2 悲喜こもごも
このような時代の流れの中で、色々な人達との出会いがあり、喜ばれることもあれば、恨まれることもありました。

  仕事を通じて喜んでいただけることは嬉しいことです。しかし、数年に1度くらいの割合で、恨まれたり、仕事をきちんとしたのに理解をしてもらえない時もあり、つらく、寂しい気持ちになります。

石坂写真(追加分)

3 ストレス解消
  私達の仕事は、基本的にストレスの多い仕事ですが、嫌なことは、なるべく早く忘れるようにしております。
  ストレス解消法として、なるようにしかならないとか、過ぎてしまったことはしかたないとか、家に帰ったら仕事のことは考えないとかするのですが、きれいさっぱりと割り切ることは難しいのです。
  今の私のストレス解消法は、気功により、精神を統一し呼吸に集中し、脳を穏やかな状態にして、何となかなるさと楽観的思考を維持することでしょか。

4 年齢は余り考えない
  最近は、高齢者虐待、成年後見人など高齢者の問題に関わる仕事が多くなりつつありますが、人は、高齢になっても、自立し、自分の足で歩き、社会との接点を維持することが大切であると考えております。
また、人は、気持ちの持ちようでずいぶんと変わりますので、年齢にこだわらず、都合の悪いときだけ、「歳だから」と言い、それ以外は、余り年齢のことを考えないようにしております。
  私の願いは、70歳になったら週休2日を完全実施したいこと、75歳になったら週休3日になったらいいなということです。
  今年も、泳いで、自転車をこいで、走って足腰を鍛えながら仕事をしますので、よろしくお願いいたします。


熟年離婚と退職金分割


弁護士  村田 正人

 一昨年の10月に順天堂病院で心臓のバイパス手術を受けて1年以上を経過しました。おかげさまで、定期受診を受けながら、むつかしい仕事もこなすまでに回復しました。65歳になったせいか、同世代の知人、友人の「熟年離婚」の相談もかなり増えてきました。離婚に際して、年金分割が行われることはいまや常識となりましたが、退職金の分割はいまだ常識とはなっていません。

 私が手がけた案件で、名古屋高裁民事第3部判決は、共稼ぎの夫婦の離婚で、離婚した妻が退職金を受領したときは、退職金の一定額を離婚した夫に支払えという判断を下しました。退職金の計算は、結婚から別居まで(離婚までではありません)の期間に相当する夫婦のそれぞれの退職金を計算して、その差額を出し、多い方が少ない方に差額を支払うことになります。この事件では、約500万円弱の差額が出ました。

写真 村田

 1審の裁判所では、退職金差額があることを裁判所も双方の弁護士も見落としていました。私は、控訴審から受任しましたが、退職金差額が財産分与の対象となることを控訴理由で指摘し、高等裁判所がこれを認めたのです。この事件では、退職までは双方とも約4年で、退職は近接未来のことでしたが、実は、退職まで何年なら認められるかの問題があります。あまりに長い将来では、会社が潰れるなどもあり、確実性に欠けるという理由です。

 東京高裁平成10年3月13日決定は、定年まで7年で退職金分割を認め、名古屋高裁平成12年12月20日は、定年まで9年でも退職金分割を認めました。

 裁判所の判断は、別居時点での精算して金額を確定させ、支払いは退職金受領時とするものですから、退職までの期間の長短に関係なく、年金分割と同様に、離婚が何歳の時でも、退職金の分割は認められるという方向になりそうです。今後の裁判例の動向に注目です。


高齢化社会と成年後見制度の活用


弁護士 伊藤 誠基

 高齢化社会が本格化してきましたが,年をとると衰えるのが判断能力です。記憶力が衰えるだけなら病気とは言えませんが,認知症になると介護や施設入所を考えなくてはならなくなります。

認知症高齢者の保護の在り方が社会問題化していますが,法律の世界では,成年後見制度が活用される場面が多くなってきました。自分の財産管理や契約の処理は自分自身が行うのが民法の原則ですが,認知症が進んだ高齢者に適切な行動を期待することはできません。悪質な投資詐欺やリフォーム詐欺にあう被害も後を絶ちません。

そんなとき,本人に代わって財産管理や契約の処理をするのが成年後見人という制度です。成年後見人が付くと本人は管理権を失いますので,本人が勝手に契約をしても,後で成年後見人が取り消すことができます。契約も成年後見人が独自の判断で締結できるようになります。

写真 伊藤(写真下部に「陸前高田市にて」と入れる)

 ところで,認知症高齢者にしっかりした同居家族がおられるなら,本人に代わって銀行預金を下ろしたり,施設入所の際も家族が代わって契約することが多いのが現状でしょう。あえて成年後見人を付けている例はそれほど多くはないかもしれません。

しかし,親族とはいえ,勝手に認知症高齢者に代わってこれらの処理をすることはできないはずです。最近は金融機関にしても介護施設にしても,本人の意思確認を厳格にするようになってきていますので,一見して高齢者に判断能力がないことが分かれば契約が拒否される事態も考えられます。

あるいは,親と同居している子どもが親の財産を使い込み,別居の子どもが何とかしたいという場合や,相続人の一人が認知症高齢者で遺産分割協議ができない場合など,どうしても成年後見人を付けないと処理できない事態も増えてきました。

 成年後見人を付けるには,本人,配偶者,4親等内の親族等が家庭裁判所に成年後見開始の審判申立てを行うことから始まります。全く意思疎通ができない場合は,主治医の診断書だけで審判が出ます。しかし,判定が難しい場合には医師による鑑定が実施されます。

成年後見人として選任されるのは配偶者,子,兄弟姉妹などの親族が多く,弁護士や司法書士などの専門職成年後見人が選任されることもあります。

旧制度は禁治産制度と呼ばれ,差別的色彩が強いイメージでしたが,平成12年4月1日から施行された成年後見制度は,本人の自己決定の尊重,ノーマライゼーションといった新しい理念のもとで本人保護との調和を図ることが企図されており,これからますます重要性が大きくなっていくものと予想されます。


家族生活における個人の尊厳と両性の平等の実現に向けて


弁護士 森 一恵

[最高裁判所違憲決定の概要]

  最高裁判所は,婚外子(嫡出でない子)の法定相続分を婚内子(嫡出子)の2分の1として,法定相続分を区別する民法第900条第4号ただし書前段の規定について,「法の下の平等」を定める憲法第14条第1項に違反して無効であると判断しました。最高裁判所は,民法第900条第4号ただし書前段の規定を違憲と判断した理由について,次のように述べています。

「本件規定の合理性については,個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし,嫡出でない子の権利が不当に侵害されているか否かという観点から判断されるべき」であり,本件規定が設けられた1947年の民法改正以降「婚姻,家族の在り方に対する国民の意識」も変化し「家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかで」ある。このような認識の変化に伴い,「父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考え方が確立されてきているものということが」できる。

写真 森

[最高裁判所違憲決定に対する私見]

 最高裁判所違憲決定は,生まれてきた子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由として,法定相続分を区別することは許されないとしています。最高裁判所違憲決定は,家族生活における個人の尊厳と法の下の平等の理念を徹底するもので,評価できます。

婚外子と婚内子の平等化を図り差別を撤廃することは国際的潮流です。これまで,国連の自由権規約委員会,女性差別撤廃委員会,子どもの権利委員会及び社会権規約委員会は,日本政府に対して,民法第900条第4号ただし書前段の規定についての懸念を表明し,本件規定を廃止することを繰り返し求めてきました。最高裁判所違憲決定は国際的潮流にも適うものです。

 [最高裁判所違憲決定を受けての私の抱負]

 私は,三重弁護士会の両性の平等に関する委員会委員として,家族生活における個人の尊厳と両性の平等の実現に向けて活動してきました。家族法における差別的規定は,婚外子の差別的な法定相続分を定める民法第900条第4号ただし書前段の以外にも,夫婦同姓しか認めない民法第750条,女性のみ6箇月の再婚禁止期間を定める民法第733条,婚姻年齢に男女の差を設ける民法第731条など,今なお存在しています。

 家族生活における個人の尊厳と両性の平等の実現にむけて,家族法における差別的規定が少しでも早く改正されるよう尽力していきたいというのが今年の私の抱負です。今年もよろしくお願い申し上げます。


「相続差別」に関する最高裁違憲決定について


弁護士 加藤 寛崇

最高裁は、2013年9月4日付で、非嫡出子(婚姻外の子)の相続分を嫡出子(婚姻した夫婦間の子)の2分の1とする民法900条4号ただし書は、法の下の平等(憲法14条1項)に反すると判断する決定を下した。同決定は、「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず」、「嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的根拠は失われて」いるから、相続分で差異を設けるのは法の下の平等に反するという。

 この違憲決定については、好意的論調が多く散見されるが、「保守」系論者の中には、「伝統的な家族制度が崩れかねない」などと非難する人もいる。

 だが、心配無用。この規定を廃止したからといって、「伝統的な家族制度」を危うくすることは全くない。私的所有制度のもとで、家族は、世代から世代へと財産を移転させるためのものである。富める者が財産を子孫に残し、貧富の差は再生産され、富によって獲得された地位も受け継がれて世襲されていく。F.エンゲルスは言っている。「一夫一婦婚が生まれたのは、比較的大きな富の一人の手――しかも一人の男子の手――への集中と、またこの富をほかのだれでもなくその男子の子どもたちに相続させようとする欲望によるものであった。それには、男子のではなく女子の一夫一婦婚が必要だったのであり、したがってこうした女子の一夫一婦婚は、男子の公然または隠然の一夫多妻をさまたげるものでは決してなかった。」(『家族、私有財産及び国家の起源』)

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 かくして、富をもった男子から財産の移転を受けるべき子孫が嫡出子か非嫡出子か、どちらかに傾斜配分されるかどうかといったことは、まことに些末な問題にすぎない。これを手直ししたからといって、家族制度はいささかも揺らがない。平等をいうなら、内縁の妻には一切の相続権がないという方がよほど不平等ではないかという疑問も出そうなものだが、家族制度の役割からすれば、内縁の妻にことさら相続権を与える必要などないというのは、正しい論理的帰結である。

そもそも、富める者の子として生まれたかどうかという「子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない」事実によって、大きな富を得て暮らせるかどうかという差異を生じさせる方が、はるかに平等に反する事態ではないか。相続制度自体が、不平等を生産し維持する私的所有の帰結であって、このような制度を自明の前提にしながら平等についておしゃべりするのは間が抜けている。K.マルクスは言っている。「相続権は、死者が生存中に占有していた権力、すなわちそれを所有することによって他人の労働の生産物を横領するところの権力を相続人に残してやる限りで、社会的意義を有するにすぎない。」(第一インタナショナル第4回バーゼル大会への総務委員会報告)

 このような不合理な制度は、いずれ消滅を免れない。その将来には、非嫡出子と嫡出子の相続分の差異が差別かどうかという議論は、奴隷をどのように扱うのが人道的かといった議論のように、滑稽でピント外れな議論として歴史に刻まれ、人々から忘れ去られていくだろう。


陸前高田を視察して


弁護士 村田 雄介

去る平成25年10月22日、当事務所の弁護士3名で東日本大震災で最も甚大な被害を負った陸前高田市の現状を把握するために、同市の視察を行いました。

 東日本大震災(平成23年3月11日)から既に2年半が経過し、世間では被災地の現状についてのニュースを耳にすることもほとんどなくなってきています。私自身、視察に行くまでは被災地の現状は全く知らなかったものの、漠然と復興に向けて着実に進んでいるものと思い込んでいた節があります。
 しかしながら、今回の視察によって、私の思い込みは全くの的外れであり、思い込み以外の何物でもありませんでした。陸前高田市は、東日本大震災によって、市の人口の約1割にあたる方が亡くなられ、当時のマスコミ報道にもあったように、市街地であったJR陸前高田駅周辺を含む高田町は、津波によって、ほぼ全ての建物が流され、後に残ったのは瓦礫の山だけでした。このときの映像は今もって忘れられないものです。

写真 雄介(写真下部に「陸前高田市にて」と入れる)

 今後の津波に備えるために、陸前高田市では、高いところでは約12メートルにも及ぶ土盛りをし、海岸線にも、約12メートルの防潮堤を建設する予定とのことでした。
 しかしながら、同市中心部の高田町は、未だ瓦礫の処理が終わっておらず、瓦礫の山がそこかしこにある状態です。瓦礫の処理が完了するのが来年3月との予定であり、瓦礫の処理すら終わっていない同市の復興はその気配する感じることすら難しいと言わざるを得ませんでした。 津波によって流されたお寺なども再建されておらず、そこにあった風景は、津波によって更地になった後の荒廃した土地、瓦礫が集められた集積場、被災モニュメントとして残されることになった旧気仙中学校、旧道の駅建物、東日本大震災追悼施設、などが目に留まるばかりで、新しい建物が目に留まることはありませんでした。復興と言えば、新たな都市計画による都市の再建をイメージしますが、陸前高田市は、再建に向けた土台を作るのもままならぬといった光景でした。

 ここまで復興が遅れている理由は一重に、政府の認識の甘さにあると思います。政府の復興プランはどれも平時の法律の上でのものであり、被災者があまりに多すぎる東日本大震災では法律が足かせになっているために復興のペースがあがらないのは明白です。
 昨今、東日本大震災の被災地のニュースが乏しくなり、政府の関心も薄れている今だからこそ、今一度、被災地に目を向け、復興に向けての議論を重ねなければならないのではないでしょうか。





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