2015年夏

三重合同法律事務所事務所コラム

2015年7月

2015年夏


残暑お見舞い申し上げます。

安倍自民党内閣は、今国会に安保保障法案として、集団的自衛権の行使を認めたり、米軍の後方支援として戦場のすぐ後ろで、弾薬・給油・食料等を供給するようにできる法律を作ろうとしております。この法案は、米軍等とともに自衛隊を海外に派兵する法律であり、撤回又は廃案にしなければならない法案です。

また、今国会では、労働者派遣法改悪案も提案されています。今でも横行する長時間残業や派遣切りを一層強めるものであり、労働者の生活を破壊するものとして許すことはできません。

私達の生活を大きく変える重要法案が、国民の声を聞かずに、強行されようとしております。私達は、少しでも住みよい社会になるように力を尽くしたいと考えております。

まだ暑さが厳しい毎日ですが、ご健康にはご留意ください。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。


戦争法制

弁護士 石坂 俊雄

写真・石坂

風子: おじいちゃん、安倍首相は、今の国会に提出している安全保障関連法案について、「我が国の平和と安全を守る」ために提出していると説明しているのに、「国の平和と安全を守る」法律がなぜ、戦争法制であると言われているの?
祖父: それはね、日本が攻撃をされているわけではなくて、他の国(例えば、米国)が攻撃をされている時でも、自衛隊をその国のために派遣できるようしたり、米国が始めた戦争に参加し、戦場のすぐ後ろで、弾薬、燃料、食料等を米軍のために運ぶようにするための法律だからだよ。
集団的自衛権という言葉を使っているが、我が国を自衛するのではなく、他国の戦争に荷担するということだらからだよ。憲法違反の法律であると憲法学者も言ってるね。
風子: でも安倍首相は、米国の軍艦に日本人が保護されているときに、その米艦が攻撃されたら、日本の自衛隊は、米艦の援護をしなくて良いのかと言っているよ。
祖父: この例の想定としては、朝鮮半島有事の時に、韓国にいる日本人を米艦に乗船させ、日本まで輸送することを考えているようなのだが、このようなことは考えられないね。米国は、仮に、そのようなことが起きた場合でも米艦に日本人を乗せることはないといっているし、韓国には、米国人も何万人もいるので、乗せるとしたら、米国人であり、日本人が米艦に乗ることなどあり得ないね。だから、安倍首相が説明しているようなことは起こらないと言うことだ。 
風子: 中東のホルムズ海峡にイランが機雷を敷設したら、自衛隊がそれを除去するために中東まで行くの。
祖父: 日本からはるか離れたところにある海峡に機雷を敷設されることが、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」(存立危機事態)といえるか、ということだが、通常は、そのようなことがあったとしても、我が国の「存立危機事態」であるとはいえないよね。しかし、安倍さんは、原油の輸入が長期間止まれば、国民生活に重大な影響が及ぶこともあり、集団的自衛権により自衛隊の機雷掃海ができるということを否定していないところが問題だ。
しかも、緊急であれば、国会の承認は、事前に得る必要もない。そして、国会での説明も特定秘密保護法により、防衛・外交に係わることは秘密だから、なぜ、集団的自衛権が行使されたのか、明らかにならないね。
風子: すると、その時の政府の判断で、知らないうちに、戦争が始まっていたということになりかねないのね。
祖父: そうだよ。海外に自衛隊が出て行くことになると、その費用もかかるから、いずれ、消費税を更に上げることなど、増税の話が出てきて、年金などの社会保障費は、削減される可能性が高いね。
風子: 何か嫌な世の中になる予感がするわ。私達の時代が戦争をしている時代になることは防がなくては。


除染の町・福島県富岡町レポート


弁護士 村田 正人

 4月4日、富岡町(トミオカマチ)の旧警戒区域への視察ツアー(主催ふたば商工(株))に参加する機会を得た。

 写真(村田)

いわき市から国道6号線を北上し楢葉町(ナラハマチ)の庁舎横の「ここなら商店街」前の駐車場で停車。その後、バスで富岡町内を見て回った。国道6号線は、除染作業の車両と作業員以外には人がいないゴーストタウンと化している。除染作業は道路と宅地から20mの範囲しか行われていないので多くの土地は未除染のままである。除染作業で取り除かれた土壌や草木は、黒色のフレコンバッグに入れられて保管されている。行き先は決まっていない。楢葉町の場合は、あちこちの仮置場可燃と不燃に分け、上からビニールシートで覆い整然と保管されていた。しかし、放射能汚染がより深刻な富岡町の場合は、黒色のフレコンバッグに入れて野ざらしのままであった。野ざらしで放置した状態を、国は「仮・仮置場」と呼ぶらしい。フレコンバッグは一部老朽化している。JR富岡駅の被災駅舎は取り除かれていたが、駅前商店街は津波で被災した家屋が破壊されたまま残っており、時間の流れを感じさせない生々しさを残している。富岡中学校で下車して人気のない校庭に立ち寄ると、除染作業で表土が15センチの厚さではぎ取られたことが校庭の鉄棒の鉄柱の基礎から読み取れる。校庭の放射線量は0.6マイクロシーベルトと低い。地元のガイドは、学校前の除染がされていない排水路に線量計を置いた。すると、放射線量は12マイクロシーベルトの高い線量を示した(ちなみに、三重県の測定値は0.05マイクロシーベルト)。除染されていない大部分の土地は汚染されたまま残されている。桜の名所の「夜の森」は桜が3分咲きであったが、ここにも除汚作業員と警備員の姿だけで閑散としていた。富岡警察署横の公園には、避難誘導中に津波で殉職した警察官が乗っていた被災パトカーが展示されていた。旅館「観陽亭」の庭の絶壁上からは事故のなかった福島第2原発を望見できた。

ここは遠く離れた福島第1原発から飛んできた放射能で汚染された町。

「視察による被爆は自己責任」との説明を了解しての視察であったが、破壊されたままの建物の姿と国道6号線の除染作業の車両と作業員だけが活気づく異様な光景であった。

 


少しずつ

弁護士 福井 正明

 昨年秋から、少しずつ体を慣らしながら、仕事に復帰し始めました。
 長いトンネルを抜けたと思ったのですが、またトンネルがあったりして思うように一直線離陸とはいきませんでしたが、仕事については少しずつ良い結果が得られる感触を得ています。
 事件に関してはあまりお話することはないので、私の趣味についてお話します。重要な画期が2つありました。1つは、Maquart Charger5という大型複葉機(スケール1/4)の操縦系統の全部更新に成功したこと、エンジンの再調整後、再飛行に成功したこと。どっしりとしていながら運動性も兼ね備えた最高の飛びっぷりでした。実機はホームビルト機でネット検索でも多数ヒットします。

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 2つ目は、Aeronca C3(スケール1/5)というパラソル機の復元飛行に30年振りに成功したことです。34年前にキットから作り、30年前に突然墜落し、胴体を大破しましたが、私の友人が引き取って途中まで修理してくれていたものでした。機体を見ますと友人の苦労が偲ばれます。アライメントを再修正し、修正に修正を重ねてやっと再飛行にこぎ着けました。
 再飛行は少し風のある中、ふわっと上がったと思ったら、風にあおられよろっとしつつ立て直して上昇していきます。
 実機はエアロンカ社の1929年製で、「空飛ぶ湯船」というニックネームで呼ばれて今でも飛んでいます。この機体の特徴は、舵が曖昧な感じでびしっと決まらない点です。ドアはなく、開けっ放しの開口部から胴体に風をはらむので、風の影響を強く受ける構造です。パラソル機とは、主翼と胴体が一体化しておらず、主翼に胴体がぶら下がったパラソルのような形という意味です。舵の曖昧な感触は、この形から来るようです。それでもこれもなんとか再飛行に成功し、復活させることができました。
 このように仕事の面でも、全面復活できるようにしたいと考えています。


労働者派遣法改正案はどこが問題か

弁護士 伊藤 誠基

国会審議中

 労働者派遣法改正案が衆議院を通過し,参議院で審議中です。政府は今年9月1日の施行を目指しています。しかし,労働団体は激しく反対しています。では,どこに一番問題があるのでしょうか。

派遣労働とは

 派遣会社が雇用する労働者を派遣先の会社に派遣し,派遣労働者は派遣先の指揮,命令の下で労働するが,給料は派遣会社から受け取る形態をとります。派遣会社と派遣先との間で労働力の「売り買い」をするようなものです。

労働者派遣法とは

 労働者派遣は労働基準法が禁ずる人貸業ですが,労働者派遣法という法制度ができたことで合法化されます。

 この法律は派遣労働者を保護するため様々な規制を設けています。法の建前は派遣労働に縛りをかけ,正社員化を促すものであるはずが,規制内容を見ると逆に派遣労働を助長するような内容になってしまっていることが従来から批判されてきました。

写真・伊藤

現行法は

 26の専門業務(IT関連,通訳,翻訳等)とそれ以外の一般業務に分けたうえで,専門業種については派遣期間は3年以内と定められていても,期間延長ができて,ある意味派遣労働者はずっとその職に就くことができます。一般業務では派遣期間は最長3年です。派遣先がこれを超えて働かせようとする場合には派遣労働者を直接雇用しなければなりません。

ところが改正法案は

 専門業務と一般業務の区別をやめ,同じ規制に統一します。その規制方法は事業所内の派遣労働者の部署,つまりポストとそのポストに座る個々の派遣労働者を分けて考えます。そして,派遣のポストは3年間という派遣期間の制限を受けますが,派遣先が労働組合あるいは労働者の過半数を代表する者に期間延長を説明すれば,派遣のポストは3年毎にいくらでも延長できます。

 しかし,派遣のポストが延長されたとしても,個人の派遣労働者は3年を超えてはそのポストで働くことができないという制限を受けます。直接雇用制度はなしです。

建前と本音

 もともと派遣期間を制限する規制は,企業が正規労働者を派遣労働者に置き換えることのないようにするものです。ところが,改正法案は,派遣のポストは永続化できる一方,個々の労働者については同じ事業所で雇用されなくなるという不利益を受けてしまいます。これは企業にとっては都合がよく,派遣労働者にとっては正社員化の道を塞がれることになります。

 この法案には厳しい目を向けていく必要がありますね。


2015NPT再検討会議に参加して

弁護士 森 一恵

 
写真(森)2

【はじめに】
  2015(平成27)年4月25日~5月1日まで,ニューヨークで行われたNPT再検討会議,サイドイベント,パレード等に参加した。これから,ニューヨークでの滞在日記や参加しての今後の抱負を報告させていただく。

【ニューヨークでの滞在日記】
1 1日目
    夜にニューヨークに到着。
2 2日目
    午前8時に宿舎を出発。NPT再検討会議登録のため,国連本部に向かう。お昼前頃,無事に登録作業が完了する。これで明日からの会議に参加できると,ほっとした。
    午後からはユニオン広場でのパレードに向かう。ユニオン広場に到着すると,すでに世界中からNGO団体が集まっている。非核や戦争反対を訴えながら,3時間程度,ニューヨークの街中を行進する。
3 3日目
  午前中は,NPT再検討会議を傍聴した。世界各国からの代表者が発言しているが, 国連の公用語での発言のため,ほとんど理解できなかった。
 午後はサイドイベントである「マーシャル諸島の核ゼロ裁判」を傍聴する。マーシャル諸島の核ゼロ裁判弁護団長である女性弁護士の裁判報告等を聞いた。
    サイドイベント終了後は,レセプション「核のない世界へ~ヒロシマ・ナガサキの願い」に参加した。開場には身動きがとれないほど,たくさんの人々が来場していて, 反響の大きさを実感した。
4 4日目
  サイドイベントである「近代化,autonomisation,and weapons in space」を傍聴する。日本語の同時通訳は行われているのであるが,日頃あまり考えたことのない分野であるためか,難解すぎてよくわからなかった。
5 5日目
  サイドイベントである「核兵器廃絶への戦略」会議を傍聴する。会議途中に参加者から「議論しやすいように円卓形式に机を直して行いましょう。」と提案が出るほど,アットホームな雰囲気で行われ,活発な議論がなされた。自分に語学能力があれば国際会議で議論に加われるのにと思い,自分の語学能力のなさを痛感した。
6 6日目
  無事に帰国した。

【参加しての今後の抱負】
 私はこれまで,非核三原則を法制化すべく,検討を重ねてきた。非核三原則法制化を実現するためには,日米安全保障条約のもとで非核三原則法制化は実効性があるか等の難しい課題を克服していかなければならない。しかし,NPT会議全体で実感した,平和を願う全世界共通の思いがあれば,課題克服は困難なことではない。私は引き続き,非核三原則法制化に向けて,勉強と検討をしていきたい。


労働者派遣法は、派遣労働者を「モノ扱い」する法律です


弁護士 加藤 寬崇

 安倍内閣は、今国会に、雇用分野に関してだけでも、労働基準法等改正法案や労働者派遣法等改正法案などの悪法を提出しています。
 労働者派遣法改正法案については、厚生労働省課長が、派遣労働者について「モノ扱い」だったと発言して、一時、物議をかもしました。

 この発言は、正確には「派遣労働は期間が来たら使い捨てというモノ扱いだったが、ようやく人間扱いする法律になってきた」というものです。これは、前半については、いたって正しい内容でした(「期間が来たら使い捨て」というよりは「不要になったら使い捨て」という方が実情には合っていますが、法律としては「期間が来たら」で間違っていません。)。
 制度の構造としても、そう言えます。派遣労働者を使用する派遣先会社は、派遣労働者に給与を支払うことはなく、派遣元会社に「派遣料」を支払います。この派遣料は、課税仕入れ(課税売上(消費税の課税対象となる売上金額)から控除される仕入金額)として扱われます。他方、会社が雇用する従業員に支払う給与等は、課税仕入れとして扱われません。つまり、税制上も、派遣労働者は、商品をつくために原料等の「物」を仕入れるのと同じように扱われているのです。

写真(加藤)

 また、法律上、派遣先会社は、使用しようとする派遣労働者を事前に面接することは禁止されています(実際には、少なからず行われていますが。)。本来、会社で使用しようとする人がどんな人物か面接しないのはおかしな話ですが、派遣労働者が派遣元から仕入れる「物」に過ぎないと考えれば、ごく自然なことです。
実態としても、リーマンショックの時期には、派遣先会社は、派遣労働者を優先して整理して、いわゆる「派遣切り」が横行しました。リーマンショックの起きた2008年の翌年には、労働者派遣された派遣労働者数が約25%も減少しています。文字通り「使い捨て」にされていたとしか言えません。
 したがって、「モノ扱い」発言は、派遣労働者がこれまでモノ扱いだったという限度では、100%正しい内容としか言いようがありません。

 間違っているのは後半部分であって、今国会の労働者派遣法改正法案では、派遣労働者が永続的に派遣労働者のままの「モノ扱い」になることを認める内容になっています。このような改正法案は阻止しなければなりません。


労働問題とは


弁護士 村田 雄介

写真(雄介)

1 はじめに
    一言に労働問題と言ってもその中身は非常に多岐に渡ります。解雇、雇い止め、賃金未払い、パワハラ、マタハラ、過労死、労働災害等、およそ労働者の労働に纏わる問題すべてが労働問題に含まれます。
    この多岐にわたる労働問題は、それぞれにおいて解決方法がかなり異なるのも特色かと思います。

2 労働問題の特色
    労働基準監督署やハローワークはもちろん、警察、検察等の対応が必要な事案もあります。これらの関係各省庁との関係の中で事件の処理が行われることがままあるところが、労働問題の特色とも言えるのかもしれません。

3 裁判所の活用方法
    裁判所の手続きにおいても、訴訟、労働審判をいずれを利用するかも悩みどころではあります。労働審判を活用すれば早期に解決が図られますが、事実上、和解のための話合いとなりますので、解決金等の金額は訴訟に比べて低くなる傾向があります。一方で、訴訟は、労働審判と比べて、最終解決までに相当長期の期間がかかることになります。

  過労死、労働災害の事案では、労働審判を利用することはほぼないように思えますが、解雇、雇い止め、賃金未払い等では、労働審判を利用することもあります。

4 労働審判の活用
    しかし、労働審判では、証拠調べが厳格には行われない等の手続き的な制約も多いため、証拠関係が乏しい事件ではかなり不利な解決を強いられることが少なくありません。労働審判では、審判官(裁判官)の隣にいる労働委員から嫌味を言われることも少なくなく、その意味では訴訟より精神的に辛いと感じることもあるように思えます。
    ともすると、証拠等がそろっている場合は勝訴の見込みが強く、低額な解決金での決着を強いられることが少ない訴訟のメリットが多いように感じます。
    結局のところ、早期解決というメリット以外には労働審判を利用するメリットはありません。相談段階では証拠等がどれだけあるか不明であり、勝訴の見込みが分かり難い等の問題はありますが、私自身は、労働審判の利用は極力避けるべきではないかと考えています。





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