2017年元旦

三重合同法律事務所事務所コラム

2017年1月

2017年元旦


新年明けましておめでとうございます。

 

「子供を戦場に送らない」という不戦の誓いは

安部内閣のもとでの一昨年の9月19日の安保法制の改正により、

なしくづし的に憲法改正が進められ、ますます危険な状態になっています。

PKO法の改正による自衛隊の「駆け付け警護」、「宿営地の共同防護」の新任務は、海外派兵へとつながる道です。

 

今年も、

平和な暮らしと

戦争放棄をした

日本国憲法を守るために皆様と共に力を尽くしたいです。


南スーダンへのPKO派遣


弁護士 石坂 俊雄

石坂写真

風子: 爺、昨年の10月ごろ南スーダンへの自衛隊派遣の延長というニュースが流れていたけど、これは何。
爺 : 南スーダンへの自衛隊派遣は、昨年10月末で終了する予定であったが5ヶ月間延期して、今年の3月まで派遣をすることにしたんだ。
風子: 南スーダンという国はどのあたりにあるの。
爺 : 地図の位置関係では、アフリカの地中海に面したエジプトの下にスーダンがありその下にあるよ。6年前にスーダンが独立した国で、エチオピア、ケニア、ウガンダ、コンゴ、中央アフリカ共和国の6カ国に囲まれているのだ。
風子: ところで、PKOとはどんなことをするの。
爺 : PKOは、「国連平和維持活動」の略語で、紛争が発生していた地域において、紛争当事者間で停戦合意が成立したあとに、国連の安全保障理事会の決議に基づき、両当事者の間に立って停戦や軍の撤退を監視することで再び紛争が発生することを防ぐ活動だ。
    現在では、その任務が多様化して、難民支援から復興開発まで行っているのだ。
風子: 南スーダンは、政府軍と反政府軍争いや、部族間の対立があり、治安が乱れているとニュースで流れていたけど、大丈夫なの。
爺 : PKO派遣には、5つの原則があり、その一つに「紛争当事者間で停戦合意が成立していること」という大原則があるが、南スーダンの現状は、この原則に反しているよね。
風子: 5原則にも反しているのに、なぜ、政府は、自衛隊の派遣を延長したの。
爺 : それは、戦争法制が成立し、自衛隊に「駆けつけ警護」等の新任務をさせたいからだよ。
風子: 「駆けつけ警護」とは、どんな警護。
爺 : 「駆けつけ警護」とは、自衛隊がPKO活動をしている最中に、別の活動をしている国連職員やNGOの人達が襲われたときに、そこに駆けつけて警護することだよ。
    「駆けつけ警護」を認めると、敵と戦闘状態になるわけだから、自衛隊員は敵を倒すし、隊員も死亡するかもしれないね。
風子: でも、同じく平和を維持するために働いている外国の人が近くで、誰かに襲われたら、その人たちを助けなければかわいそうでしょ。
爺 : そういうことも言えるな。だから、そのような危険地帯ではPKO活動をしないために5原則があるのだが、だんだん、緩和されているために、このような問題が起きてくるよね。
    また、戦闘行為に入り、自衛隊員が死亡する可能性がある分けだから、憲法9条との関係をどうするのか、それでも、派遣をするのなら、国民の間で、派遣やむなしのコンセンサスが得られていないいけないね。現状では、事故が起きた場合、大きな問題になるね。
風子: 問題点が分かったわ。ありがとう。
   ところで、爺は、今年で70歳にだけど、まだ、トライアスロン等の大会に参加するの。
爺 : ああ、昨年は、80代の人が3人出てたので、しばらくは出るつもりだ。


弁護士在職40年と表彰


弁護士 村田正人

 中部弁護士会連合会から弁護士在職40年の表彰を受けました。私が、弁護士となった昭和51年(1976年)は、訴状や準備書面を作るのに手書きや和文タイプを使っていました。その後、ワープロ時代を経て、今やパソコンやインターネツトを使えないと弁護士活動も困難な時代となりました。よくぞ時代の変化に対応してきたものだと感慨深いものがあります。

 私は、弁護士活動40年のうち30年間を日弁連の公害対策環境保全委員会の委員しています。昨今は、廃棄物部会に属し、福島第一原発から排出された8000ベクレル以下の放射性廃棄物の適正処理の問題を扱っています。東北大震災後に中弁連から岩手県陸前高田市に派遣され、釜石市までの海岸線を見て回りまいsた。山裾まで廃墟となった街並みにショックを受けましたが、さらにショックを受けたのは、昨年、福島第一原発の近くの富岡町や大熊町を視察した時です。復興が進んでいる東北にあって、放射能の影響で帰還できず、破壊されたままの家屋の街並みがありました。原発を推進してきた政策に憤りを覚えました。三重県に原発がなく安心して暮らせるのは、当時の中曽根科学技術庁長官を追い返した地元漁民の皆さん達たちの闘いの成果があるからです。三重県が四日市公害の悲惨な体験をしたことも忘れてならないことです。悲惨な公害をなくすために、愛知県弁護士会の先輩弁護士は、現地に入って四日市公害訴訟を掘り起こし、歴史に残る勝訴判決を得て、公害健康被害補償法など多くの成果を残すことに貢献されました。私は、先輩弁護士の後姿を追いかけながら、ふるさと三重の海と山と青い空を守るためのライフワークを続けていきたいと思っています。

 

 


日弁連が死刑制度廃止を求める宣言


弁護士 伊藤 誠基

伊藤写真死刑制度廃止宣言

 日本弁護士連合会は,昨年10月7日福井市で開催した人権大会で,死刑制度を2020年までに廃止を目指すべきとの宣言決議を採択しました。当時マスコミでも報道され,話題となっています。日弁連が死刑制度の廃止を打ち出したのは初めてのことです。弁護士でも廃止に反対する意見があり,これまで組織として明確な意見表明に至っていませんでしたから,画期的です。

なぜ死刑廃止宣言をするのか

 凄惨な殺人事件が発生すると,悲嘆に暮れるご遺族に人々が強い共感を示し,犯人には厳罰,すなわち死刑という刑罰に処すべきとの感情に駆られることは,ごく自然なことかもしれません。

 しかし,世界的には死刑制度を維持している国は少数派です。死刑を廃止している国は実に140か国に達し,死刑制度がある国でも実際に執行している国は25か国です。

OECD加盟国(欧米含む先進国)34か国でみても,死刑制度を維持しているのはアメリカ,日本,韓国の3か国しかありません。アメリカも18州が死刑制度を廃止し,存置している州でも実際に執行した州は6州のみです。韓国も事実上執行を停止しています。

日本政府は国連の自由権規約委員会,拷問禁止委員会,人権理事会から死刑執行を停止し,死刑廃止を前向きに検討するべきであるとの勧告を受けています。

こういう国際社会の潮流からすれば日弁連の宣言は決して先走ったものでないことがわかります。

なぜ死刑制度廃止に向かっているのか

 日本の世論では死刑制度を維持する意見が多数派となっているのですが,国際社会ではどうして逆の流れになっているのでしょうか。それは死刑は人の生命を奪う刑罰であり,人権保障制度と本質的に相容れないものと考えるからです。そもそも刑罰は犯罪者の生命あってのもので,それを奪うのは刑罰制度の自滅行為です。

 さらに,死刑判決は常に正しいとは限りません。日本でも4名の死刑囚が再審で無罪になっていることからも理解できます。

 罪を認めている死刑囚でも,事件は残虐,残忍ですが,少年時代親から虐待を受けたり,貧困,差別に晒されている場合が多く,生まれながらにして犯罪者であるはずはありません。

 私は,濱川邦彦さんという強盗殺人罪で死刑囚となった人の再審事件(久居事件)を担当しています。名古屋拘置所で打合せをしたとき,彼から外の死刑囚と顔を合わせた時の印象を聞いたことがありました。とても極悪犯罪を犯した人物には見えないそうです。知的障害があったり,身体が不自由で他人に利用されたり,本当に悪い人間は罪を逃れたりしていると。彼はいつ何時死刑執行されるかわからない中で懸命に再審事件を闘っています。死刑制度は事件の真実や社会の矛盾を覆い隠す制度でもあると私は考えています。

死刑制度がなくなれば不安か

 死刑制度は犯罪抑止効果があるという研究はありません。むしろ懐疑的であるというのが,制度の賛否にかかわらず一致した意見です。

 現在死刑賛成論の最大の根拠は応報感情にあると思われます。

 しかし,刑罰=応報(目には目を)という考え方は克服されつつあります。刑罰より社会復帰の処遇が日本でも刑事政策の中心になりつつあります。同時にご遺族の支援をもっと拡大することに心血を注ぐべきでしょう。


国際司法裁判所のマーシャル諸島・核軍縮裁判について


写真 森

弁護士 森 一恵

[[マーシャル諸島・核軍縮裁判とは]

  マーシャル諸島・核軍縮裁判とは,米国のビキニ環礁での核実験で被害を受けた南太平洋の人口約5万の島国であるマーシャル諸島が,核兵器保有国9カ国(米国,ロシア,フランス,英国,中国,インド,パキスタン,イスラエル,北朝鮮)に対して,国際法上の核軍縮交渉に取り組む義務を怠り,国際法に違反しているとして,2014年4月24日,オランダのハーグにある国際司法裁判所(INTERNATIONAL COURT OF JUSTICE ,略称ICJ)に提訴した訴訟です。

 訴訟においては,各国が巨額の予算をつぎ込んで核兵器の近代化を進めている等核軍縮義務に違反している実態が主張されました。

[マーシャル諸島・核軍縮裁判の結果と意義]

 核兵器保有国9カ国のうち, ICJの「強制管轄権」を受諾(問題になっている紛争解決のためにICJの司法手続きの当事国となることに同意すること)した3カ国(英国,インド,パキスタン)について裁判が行われ,2016年10月5日に判決が下されました。

ICJ判決は,核軍縮をめぐる多国間交渉でマーシャル諸島が出した声明は特定の国を対象としたものではないとして, マーシャル訴訟と訴えられた国との間で「法的紛争が存在しない」と判断しました。そして,ICJに訴えを審理する権限はないと判断して,結局実質的な審理に至らないまま,言わば門前払いで,裁判は終了しました。

「法的紛争が存在しない」ことを理由に,核軍縮義務違反についての実質的な審理に至ることなく,裁判が終了したことは,非常に残念でした。しかし,核実験で被害を受けた小国が大国である核兵器保有国を相手にICJに提訴し,国際的な関心を集めたこと自体,世界の核兵器廃絶に向けて1歩でも前進するための取組の1つとして,重要な意義があります。

[終わりに]

 私はこれまで,非核三原則を法制化すべく,検討を重ねてきました。被爆国の日本において,非核三原則を法制化することも,核兵器廃絶に向けた取組の1つであり,日本国内のみならず国際的にも重要な意義があります。

 2017年3月1日,私はマーシャル諸島での核被爆者追悼記念日(ビキニデー)の記念式典やイベントに参加する予定です。現地での記念式典やイベントに参加して勉強した成果を,非核三原則の法制化の取組につなげたいと考えています。現地での記念式典やイベントの状況は,また機会がありましたらご報告させていただきます。

 今年も宜しくお願い申し上げます。


高齢者向け住宅をめぐるトラブル


弁護士 加藤 寛崇

 高齢化社会を迎えて、各地に、食事や生活支援等のサービス提供がセットになっているサービス付き高齢者向け住宅が増加しています(一口にサービス付き高齢者向け住宅と言っても、法律上は様々な種類があって複雑なのですが、細かい点は省略します。)。高齢者向け住宅を運営するのは、社会福祉法人だったり普通の会社だったりしますが、高齢化社会で介護業務の需要が増加しているため、新規に参入してきた事業主も少なくありません。そして、中には少なからず問題のある運営をしている事業主も散見されます。

 実際に、有料老人ホーム等に入居するに当たって支払われる入居一時金について、途中で退去した場合の返還をめぐってトラブルが多発したことから、現在では、法改正によって、以下の契約内容とすること等が事業主に義務づけられています(2011年改正後の老人福祉法、同年改正後の高齢者の居住の安定確保に関する法律)。

・前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて必要な保全措置を講じること

・返還する金銭の精算は日割り計算で行うこと

・家賃、敷金及び日常生活上必要なサービスの対価として受領する費用以外に、権利金その他の金品を受領してはならないこと

 しかし、今でもこれらの条件が十分に守られていない契約を目にすることも時にはあり,この先、紛争も生じてくると思われます。

今の高齢者向け住宅の規制には曖昧な点もあり、たとえば、「敷金」の受領は良くて「権利金」の受領はダメだとされているものの、前者と後者の区別は明確ではありません。これまで、通常の賃貸住宅に関わる法律トラブルとして、敷金や更新料の返還請求をめぐって全国的に争われたケースもあり、この点については判例によるルールも一応形成されています。高齢者向け住宅に関するこの種のトラブルについて裁判になった例はあまり見当たりませんが、今後、問題が生じてくると予想されます。

いずれにせよ、トラブルになるのは好ましくありませんので、身内などが入居する場合には契約内容をよく確認することが必要です。


労働者からみた失業保険について


写真(雄介)

弁護士 村田 雄介

 前回は企業法務側の視点から就業規則に関してご報告させて頂きましたので、今回は労働者側からみた失業保険についてご報告致します。

 失業保険を受けられる労働者は、在職中に雇用保険に加入していたことが最低条件ですが、失業保険の給付期間やその金額は、辞めた理由によっても変わります。

 労働者は種々の理由で会社を辞めることになりますが、離職事由は、退職、普通解雇、懲戒解雇と大きく分けて3つあり、さらにいくつかに細分化されます。

 労働者として知っておきたいことは、正当な理由なく自主退職した場合や重責解雇の場合は、概ね3ヶ月の間、失業手当の支給が受けられません。一方で、その他の解雇や自主退職でも結婚をきっかけに遠方への移住する場合などは、3カ月間の不支給期間がありません。ですから、離職理由は失業保険の給付額に大きな影響を与えるものなのです。

 そこで、重要なのはハローワークに提出する離職票にある離職理由欄です。会社は、会社にとって都合のよい離職理由(自主都合退職など)にチェックを入れる傾向が強いため、会社に辞めさせられた場合(労働者の自由な意思のみで退職していない場合)には、会社が「自主都合退職」にチェックを入れていたとしても、労働者記載欄では、「解雇」にチェックを入れる必要があります。労働者と会社で離職理由が異なっている場合には、ハローワークから会社に確認の電話等が入り、異なっている理由の聞き取りがなされます。

 多くのケースでは、ハローワークとのやり取りの中で、会社が離職理由を「解雇」に訂正することが多いようです。

 また、解雇を無効として争う場合でも失業保険は受けられます。正式には仮給付という形ではありますが、生活費を担保する手段の一つですので、仮給付は受けておくべきです。 法的には、従業員である地位の確認の仮処分とともに給与の支払いの仮処分の申し立てを行うこともありますが、上記申立てを行うかどうかは案件によってメリットデメリットが異なりますので、ケースバイケースということになります。

 労働者の退職に伴う失業保険の問題は、支給事由、支給期間、支給額、本給付・仮給付の別とその問題が意外と多岐に渡りますので、離職票を出す際には一度当事務所までご相談して頂くことをお勧め致します。

 





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