離婚問題について

過去の取扱事例にもとづくQ&Aです。 これ以外の疑問点やご質問もお気軽にお尋ねください。 こんなことを相談できるのかなと思うようなことでも、法律で解決できることはたくさんあります。また、問題が大きくなる前にご相談いただくことで、容易に解決することもあります。心配なことや疑問に思っていることがありましたら、お早めにご相談ください。

目次

Q

離婚問題について、このQ&A欄の内容を教えて下さい

A

第1 離婚の手続
1 離婚するには、どのような手続をとったらよいですか
2(1) 離婚するまで同居しないといけませんか (2) 同居審判を申し立てられたので、どうしたらいいですか
3 別居・離婚に伴って、どのような請求ができますか
4 先に離婚して、後から慰謝料や財産分与などの請求をすることができますか

第2 離婚原因及びその証拠
1 相手が離婚を拒否している場合、どういうときに離婚できますか
2 まだ別居して間がないので、時間を置いてから調停を申し立てた方がいいですか
3 配偶者の有責行為は、どのように裏づけたらいいですか
4 無断録音や他人のメールは不貞などの証拠として使えますか
5 不貞をしたような有責配偶者は、どのようなときに離婚できますか
6 離婚原因として問題になる「別居」はどういう状態を指しますか。時々連絡をとったり、子どもに会って宿泊していても「別居」になりますか。

第3 子どもの問題
1 未成年の子どもの親権者はどのように決まりますか
2 一旦決まった親権者の変更はできませんか
3 まだ離婚していない時点で、奪われた子どもを取り戻すことはできませんか
4 別居して相手方が監護している子どもに会うにはどうしたらいいですか

第4 離婚に伴う金銭請求等① 財産分与
1 離婚に伴って請求できる財産分与とはどういうものですか。
2 財産分与で分ける財産を確定する基準時はどのように決めますか。単身赴任で別居していた場合は、単身赴任になった時点が基準時になりますか。
3 財産分与の対象となる財産は、どのように価値を評価するのですか。別居後まもなく不動産や株を売却してしまった場合はどうなりますか。
4 いかなる財産が財産分与の対象になりますか。たとえば、以下のものは対象になりますか。対象となる場合の具体的評価方法も教えて下さい。
(1) 預貯金が、別居時点で婚姻時から増加している場合の当初の預金
(2) 法人や子どもなど第三者名義の預金
(3) 学資保険
(4) 結婚前の預金を頭金にして住宅ローンを組んだ場合の自宅
(5) 株式
(6) 将来の退職金
(7) 企業年金
(8) 生命保険
(9) 自動車などの物
(10) ギャンブルで得た収入
(11) 借金

5 財産分与で財産を分ける割合はどのように決まりますか。たとえば、妻が専業主婦で夫が高収入の場合でも5:5になりますか。
6 具体的にどちらがどの財産を持つことになるのかは、どのように決まるのですか。
7 住宅ローンの残った住宅がある場合は、どのように財産分与がなされますか。

第5 離婚に伴う金銭請求等② 慰謝料
1 離婚に伴う慰謝料請求は、どういう場合に認められますか。
2 慰謝料の相場はどうなっていますか。
3 不貞の場合、不倫相手と配偶者と別々に慰謝料請求できますか。離婚しない場合、不倫相手だけに慰謝料請求できますか。
4 不貞の証拠を確保するために興信所に支払った費用は請求できますか。
5 配偶者の不貞によって離婚に至ることで子どもが被った精神的苦痛について、子どもから慰謝料請求することはできますか。
6 配偶者が会社の従業員と不倫した場合、会社の責任はありませんか。

第6 離婚に伴う金銭請求等③ 養育費・婚姻費用
1 どのような場合に婚姻費用・養育費が請求できますか。
2 婚姻費用・養育費はどのように決まるのですか。
3 婚姻費用・養育費はいつから請求できますか。これまで支払われていなかった期間の分は支払わせられませんか。
4 同居中ですが、婚姻費用を請求できますか。
5 婚姻費用・養育費はいつまで請求できますか。
6 婚姻関係が完全に破綻しているのに、婚姻費用を支払わなければならないのですか。不貞をした有責配偶者からの請求でも認められるのですか。
7 婚姻費用・養育費を決める「算定表」は、どのような計算で作成されているのですか。
8 算定表に当てはまらないケースでは、婚姻費用・養育費はどう計算したらいいのですか。
9 相手が働けるのに働いていない場合でも、実際の収入を元に婚姻費用・養育費が算定されますか。
10 どのようなものが婚姻費用・養育費を計算する上での収入と扱われますか。
11 住宅ローンの返済などの借金返済は、婚姻費用・養育費を算定する上で収入から控除されますか。
12 子どもが私立学校に通っている場合も、算定表どおりになりますか。
13 預貯金が持ち出されている場合でも、婚姻費用を支払わないといけないのですか。
14 一旦決まった婚姻費用・養育費の変更は認められますか。
15 支払が不安なので、養育費を一括払いしてもらうことはできませんか。保証人を付けさせることはできませんか。

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離婚の手続き

Q

離婚するには、どのような手続をとったらよいですか

A

離婚することと未成年の子どもの親権者さえ合意できていれば、役所・役場に届け出る「協議離婚」による離婚が可能です。
相手方が離婚に応じない場合や条件が折り合わず協議離婚ができない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて裁判所で話し合い、合意できない場合は、離婚訴訟を起こして裁判で争うことになります。

1 離婚の種類
離婚には、協議離婚、調停離婚・審判離婚、裁判離婚があります。
協議離婚は、当事者で合意して市役所・区役所・町村役場に離婚届を提出することで離婚になる手続で、離婚全体の約9割が協議離婚です。
それ以外の離婚は、いずれも裁判所の手続を経た離婚です。

2 協議離婚
協議離婚の場合は、当事者が離婚に合意できているので、離婚の理由は問題になりません。
ただし、未成年の子どもがいる場合には、どちらが親権者になるかも決めないといけません。
離婚に伴う諸条件(慰謝料・財産分与・年金分割・養育費など)は、離婚の合意と一緒に合意されることも少なくありませんが、離婚してから決めることもできます。当事者の合意で決まらない場合には、これらの条件だけを後日裁判所で決めるよう求めることもできます。
ただし、それぞれ期間制限がありますし、先に離婚と親権者だけ決めて離婚した場合に、後日、慰謝料・財産分与・養育費・年金分割を請求する場合には、別々の手続をとらなければならなくなることもあるなど、かえって負担が大きくなる場合もあります。
手続面の負担を別としても、相手方との交渉などを考えると、急いで応じない方が得策ということもありますので、よく検討された方がいいでしょう。

3 調停離婚・審判離婚
当事者の合意で離婚ができない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、裁判所で話し合うことになります。
この場合、調停を申し立てるべき家庭裁判所は、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所になります。別居して相手方が遠方にいる場合に、裁判所に何度も行くのは負担になるので、電話会議又はテレビ会議の方法により、現実に裁判所に赴く負担を減らして手続を進めることができる場合もあります。

調停は、両者が直接話し合うのではなく、間に調停委員(男女2名)が入って調整して話し合いを進めることになり、1か月に1回程度、1回につき2時間程度のペースで進められます。
調停は自分で弁護士を付けなくても進めることのできる手続ですが、弁護士を付けていなかったばかりに、不正確な説明に丸め込まれたりして、不利な合意をしてしまっているケースも散見されます。不安がある場合には、調停を申し立てる段階から弁護士に依頼するか、最低限、適宜相談しながら手続を進める方がよいでしょう。

審判離婚は、調停で合意できない場合に、裁判所が「調停に代わる審判」で離婚及び離婚条件を決定し、当事者双方が告知を受けてから2週間以内に異議を申し立てない場合に離婚が成立することです。当事者一方から異議があれば審判は効力を失うので、「ほぼ条件で合意できているが、最後の折り合いが付かない」場合や、当事者の一方が遠方で出席できないが条件面では折り合いが付いているようなケースで利用されていると言われています。しかし、現状では、相当稀です。

4 裁判離婚
調停で合意に至らず終了した場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を起こすことができます。
離婚訴訟を起こすのは、調停を申し立てられた側からでも可能です。
調停と異なり、訴訟を起こす裁判所は、原告又は被告の住所地を管轄する裁判所となるので、自分の住所地の裁判所で起こすことが可能です。ただし、相手方からの申立てによって、審理する裁判所を移されることはあり得ます。
離婚訴訟で、離婚する和解が成立するか、離婚を認める判決が言い渡されて確定した場合には、離婚が成立します。

婚姻と同居義務

Q

(1) 離婚するまで同居しないといけませんか (2) 同居審判を申し立てられたので、どうしたらいいですか

A

(1) 相手の許可なく別居して構いません。
(2) 同居審判が申し立てられた場合には、同居できない事情を主張して反論すべきです。

1 夫婦の同居義務
法律上は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められ(民法752条)、同居義務があることになっています。
もっとも、同居したまま離婚調停や訴訟をするのは困難なので、まず別居してからこれらの手続をとるのが一般的です。
そのため、現実には、夫婦関係を円満に継続できないような場合には、別居することで同居義務違反になるとは受け止められず、同居義務に違反したとして不利になるケースはまずありません。
同居義務が意味を持つのは、たとえば、婚姻前から夫が所有していた自宅に夫と妻が住んでいる場合に、夫が妻に対して自宅からの退去を要求することができないというように、住む権利を守るという局面です。
したがって、特に相手方の許可なく別居しても構いません。もっとも、一旦別居すると、荷物を取りに戻るのも円滑にできない場合など、その後に支障を来すことはあります。事前に弁護士と相談してみた方がいいこともあるでしょう。

2 同居審判
上記のとおり法律上は夫婦に同居義務があるため、裁判所の手続として、別居して家を出ていった相手方に対し、同居を命じるよう申し立てる同居審判という手続が存在します。
しかし、現実には同居を命じる審判がなされることは稀です。
「共同生活を営む前提となる夫婦間の愛情と信頼関係が失われ,仮に,同居の審判がされて,同居生活が再開されたとしても,夫婦が互いの人格を傷つけ又は個人の尊厳を損なうような結果を招来する可能性が高いと認められる場合には,同居を命じるのは相当ではない」(大阪高裁平成21年8月13日決定)などと考えられており、別居するほど夫婦仲が悪化している状況では、同居を命じるのは適当ではないからです。
また、仮に、同居するよう命じる審判が認められても、強制力はありませんから、現実に同居しないといけないわけではありません。

3 同居義務違反で不利になることはあるか
別居したこと自体で不利になることは考えられません。
もっとも、別居しても夫婦の扶助義務はあるので、たとえば、収入のある夫と専業主婦の夫婦であれば、夫が妻に婚姻費用(生活費)を分担する義務はあります。請求にもかかわらず負担を拒否し続けていたような場合であれば、そのことをもって悪意の遺棄に当たると評価されることはあり得ます。

別居・離婚に伴って主張できる権利

Q

別居・離婚に伴って、どのような請求ができますか

A

離婚するまでの間は、婚姻費用を請求できます。離婚に伴うものとしては、財産分与・養育費・年金分割を請求できます。また、離婚の経緯によっては慰謝料請求ができることもあります。

離婚するまでの間は、婚姻関係があることによって、婚姻費用を請求できます。離婚後は、子どもの親権者となった方が相手方に養育費を請求できます。
また、夫婦で形成された財産を分けるよう求める財産分与の請求権があるほか、相手方の有責行為に離婚に至ったときは慰謝料請求も可能です。
このほか、婚姻している間の保険料納付記録を夫と妻の間で分割する年金分割の請求も可能です。
詳しくは、それぞれのQ&Aをご参照下さい。

離婚後の各種請求の可否等

Q

先に離婚して、後から慰謝料や財産分与などの請求をすることができますか

A

可能ですが、それぞれの時効に注意する必要があります。また、手続が面倒になる場合もあります。調停で離婚するような場合は、今後お互いに金銭請求をしないといった条件を付けて離婚してしまうと、金銭請求はできなくなります。

1 手続と注意点
財産分与・養育費・慰謝料請求・年金分割の請求は、離婚した後からすることも可能です。
調停離婚・裁判離婚では、可能な請求は併せて行い、解決することが多いですが、十分に条件を決めないまま協議離婚してしまった場合などは、後からでも請求して構いません。
もちろん、調停離婚・裁判離婚した場合でも後から他の請求をすることは可能です。ただし、調停や和解で離婚した場合には、「今後お互いに金銭請求をしない」といった清算条項を付けて合意するのが一般的ですので、後から請求をする場合はそのような合意をしないよう注意する必要があります。
後から請求する場合は、慰謝料請求は簡易裁判所・地方裁判所の民事訴訟として、養育費・財産分与・年金分割の請求は家庭裁判所の調停・審判の手続で行うことになります。場合によっては複数の手続を別個に進めなければならないことになり、負担がかかります。

2 期間制限等
以下のとおり、離婚してから手続をするには期間制限等があります。
財産分与 離婚してから2年間
慰謝料請求 離婚してから3年間
養育費 請求する以前の期間の分は請求できなくなる可能性が高い
年金分割 離婚してから2年間

こうした点を考えると、一般には、後から請求するのはメリットが乏しいと言えます。

離婚理由

Q

相手が離婚を拒否している場合、どういうときに離婚できますか

A

法律上定められた離婚理由がある場合のほか、相当程度の別居期間が経過し婚姻関係が破綻しているようなケースに認められます。

1 法律上の離婚原因
法律上の離婚原因は、①配偶者の不貞行為、②配偶者による悪意の遺棄、③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときと定められています(民法770条)。
問題になることの多い①②⑤について、説明します。

2 不貞行為
不貞行為は、いわゆる「不倫」であり、肉体関係を持った場合を意味します。
もっとも、時々「一緒にラブホテルには入ったが、うまくできなかったので、肉体関係までは持っていない」といったことを述べる方もいます。
しかし、このような場合に「不貞行為」そのものに当たらないとしても、離婚理由になることには変わりがありません。また、頻度や期間の定めはないので、1回限りの不貞行為でも離婚理由に当たります。

3 悪意の遺棄
「悪意の遺棄」とは、婚姻に伴う同居・協力・扶助義務を、正当な理由なく履行しないことをいいます。
もっとも、現実問題としては、別居しただけで「悪意の遺棄」に当たると評価されることはまずありません。
該当するのは、夫が一方的に妻子をおいて家から出て行き、生活費を送らない、といったようなケースが典型です。

4 婚姻を継続し難い重大な事由
その他、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態であれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」があることになります。
(1) 暴力・虐待
暴力・虐待を受けているようなケースは、離婚理由に該当します。
(2) 婚姻関係の破綻
「性格の不一致」と言われるように、不貞や暴力のように明確な理由はないが夫婦関係がうまくいっていないというケースも少なくありません。こういう場合、一方が拒否していると、「夫婦仲の回復の見込みがないとは言えない」と判断され、直ちには離婚できないこともあります。
結果的に分かりやすい目安となるのが、別居して相当期間が経過しているということになります。
この別居期間については、5年が1つの基準になるという見解も見られますが、実際には、別居に至った経緯や、別居後の夫婦間のやり取り(修復を求める行動が一方からあったかどうか)なども踏まえて考慮されます。
たとえば、別居前から夫婦仲が悪く、1年間程度は家庭内別居状態であったようなケース(婚姻期間約30年間)では、2年程度の別居期間でも離婚が認められています。
また、別居期間は婚姻期間との対比でも考えられるので、婚姻期間が短いケースならそこまで長期間の別居は必ずしも必要ありません。

手続を進めるタイミング

Q

夫婦仲が悪いので、家を出て別居を始めましたが、不貞や暴力のような離婚理由がありません。裁判になっても離婚できなさそうなので、時間を置いてから調停を申し立てた方がいいですか。

A

早く申し立ててしまった方が早期の離婚につながることもあります。

1 別居期間の判断時点
婚姻関係が破綻しているかどうかの目安となる別居期間は、基本的には、裁判で審理が終結した時点までで考えます。調停や訴訟をしている間に1、2年は経過するので、調停や訴訟をしている間に経過した期間で、別居期間として十分になることもあります。

2 相手方との関係
相手方が当初離婚を拒否している場合でも、調停や訴訟まで進めれば条件次第で応じてくることも少なからずあります。
特に、相手方の方が収入が多いケースなら、離婚調停と併せて婚姻費用請求の調停を申し立てれば、相手方は、離婚するまで婚姻費用を支払い続けることになるので、その負担を嫌って離婚に応じてくる場合もあります。
以上のことから、別居して間がないからというだけで調停申し立てを控えるのは必ずしも適切ではありません。