労働問題について

過去の取扱事例にもとづくQ&Aです。 これ以外の疑問点やご質問もお気軽にお尋ねください。 こんなことを相談できるのかなと思うようなことでも、法律で解決できることはたくさんあります。また、問題が大きくなる前にご相談いただくことで、容易に解決することもあります。心配なことや疑問に思っていることがありましたら、お早めにご相談ください。

不当な退職勧奨

Q

勤務先で正社員として働いています。上司から、営業成績が悪いので会社を辞めるようにといって、先日、退職届のひな型を渡されました。上司からは毎日のように「自主退職の方が君に有利だから早く退職届を出すように。」と急かされています。退職届を出さなければならないのでしょうか?

A

退職届を出す必要はありません。
退職届を出すかどうかは、労働者が個人の意思で決めればよいことです。
退職勧奨は、退職してもらえないかという会社から労働者に対する単なる「お願い」でしかありません。労働者は、会社からの退職勧奨に応じる義務はありません。
もっとも、しつこく退職勧奨してくる場合には、自分だけで抵抗するのは困難です。弁護士に相談して対策を考える、労働組合に加入して解決を図るなどの形で対抗策を考える必要があります。

過労死

Q

トラック運転手をしている夫が長時間労働による過労の蓄積で心臓病が悪化し、亡くなりました。労働災害と認められる長時間労働とはどの程度をいうのでしょうか。

A

厚生労働省は、労働者が長時間労働による過労の蓄積で脳疾患又は心臓疾患にかかり死亡したり後遺障害になった場合の労災認定基準を定めています。
それによると、被災前2か月間ないし6か月間の1か月当たり概ね80時間を超える時間外労働があった時としています。しかし、80時間を切っていても裁判で労災と認定されることはあります。当事務所では、被災前3か月は平均60時間を切っていたケースで、半年間平均がだいたい80時間程度であれば労災に該当するとした判決を得ています(津地裁2014年5月21日判決)。

試用期間中の解雇

Q

会社から、最初の6か月を「試用期間」として採用されて働いていましたが、2か月程度働いたところで「会社に合わない」などと言って解雇されました。会社は「試用期間だから解雇できる」と言っていますが、事実でしょうか。

A

試用期間中でも合理的理由のない解雇は認められません。
「試用期間」は、実際に従業員を業務に就かせてみて、採用試験や面接では分からない適格性等を判断するための期間です。一般には、試用期間中の解雇は、通常に比べて認められやすいとはいえます。しかし、試用期間でも雇用したことに変わりはないので、客観的に合理的な理由がなければ解雇は認められません。単に「会社に合わない」という抽象的な理由では解雇は無効といえます。
また、試用期間は、その期間を通じて従業員の適正を把握するためのものですから、試用期間が終わる前に解雇をするには、それだけ強い合理性が要求されます。当事務所が扱った事例でも、試用期間中の解雇について、労働審判等で会社(雇用主)に解決金を支払わせて解決した例が複数あります。

派遣切り

Q

派遣社員として働いていましたが,派遣会社が派遣先から契約を打ち切られたということで退職を求められました。応じないといけないのでしょうか。

A

応じる必要はありません。
 派遣社員は,あくまで派遣元に雇用されているので,派遣会社が派遣先から契約を打ち切られても,派遣社員と派遣会社の雇用契約には影響しません。そのようなケースで派遣社員が退職に応じず解雇された事例を扱ったこともありますが,判決でも解雇無効が認められ,解雇された後の給与の請求が認められています。

残業代請求

Q

前の職場を辞めましたが、残業代を支払ってもらっていないので、今からでも請求したいと思います。手元には一部のタイムカードしかありませんが、可能ですか。

A

退職してから残業代の請求をしたいという依頼がありました。手元には、辞める直前の1か月分のタイムカードしかありませんでした。そこで1か月分の残業代を計算し、それをもとに2年分の残業代を推定計算して訴訟を提起しました。
 訴訟提起後、相手方の会社からタイムカードを提出させ、計算をし直し、その計算に基づく残業代を支払うことで和解が成立しました。
 このように、手元に全てのタイムカードが無くても、残業代請求をすることは可能です。

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