村田 正人の記事一覧

三重合同法律事務所事務所コラム

村田 正人の記事

四日市市地下駐車場水没事件の考察

2026年1月6日

弁護士 村田 正人

 令和7年9月12日の大雨で近鉄四日市駅前の地下駐車場「くすのきパーキング」が水没した。被災車両は274台であり全国からのレッカー会社によって霞ヶ浦の保管地に移動された。水没時の状況は、脱出車のドライブレコーダーに生々しい映像が残されている。地上との出入口は10か所あり、車両用出入口の電動式止水板3か所のうち2か所は故障していた。故障は国土交通省に報告されていたが、4年近く放置されていた。

小生は、令和7年10月4日、地下駐車場1階を検分する機会を得た。停電により内部は暗く、携帯の明かりをもとに見ると1階は臍のあたりまで水没の跡を示すゴミが壁に付着していた。内部には2台の高級車が残置されていた。水没により電源を喪失したポンプの排水能力は、通常の降雨での浸水に対応できる程の能力しかなかった。

 水はどこからでも侵入してくる。地下駐車場の浸水を防ぐためには、開口部の全てを同時に防がなければならない。地下駐車場の設計時、そのことが考慮されていたか疑問である。何故ならば、現場の止水板は金属製で大変重く30kgないし40kg程度の重量があって、とても1人で持ち上げられるようなものではなかった。それを地下の保管場所から階段を上って出入口まで人力で運搬し、短時間で設置することなどできない。今回の場合は、すべての開口部に止水板がない状況だったから、全く無防備の状態で浸水被害を受けたと考えられる。

 仮に、駐車場から再開されたとしても、短時間に遮水できる構造を備えていなければ、再び同じ被害が起きることは必至である。2カ所の止水板が壊れて放置されていたことが問題なのではなく、すべての開口部を短時間に閉鎖できる装置を備えていなかった構造上の欠陥が原因である。つまり設計ミスである。そうだとすると、このような設計ミスは、全国の地下駐車場の教訓として生かされなければならない。故障していた電動止水板を回復したから浸水被害の再発を防げると言うものでないことも明らかである。

 以上の考察に立てば、被災した車両の損害賠償責任は、設計段階からの構造上の瑕疵がある地下構造物を設置した国土交通省と第3セクターの(株)ディア四日市にあることは明らかであって、国については国家賠償法に基づく損害賠償責任が、第三セクターの(株)ディア四日市については民法第717条の工作物責任による損害賠償責任があり、双方が共同不法行為者として損害賠償責任負うべき案ではないかと考察する。

 四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会中間とりまとめ(令和7年11月14日)は、「地下駐車場への急速な浸水が発生した要因の1つとして、地下駐車場付近は周辺の地盤よりも低い位置にある集水地形となっているため、周辺からの雨水が地下駐車場に一気に流入したと考えられる。」としている。そうであれば、尚更のこと、設計段階から短時間に遮水できる構造が検討されなければならなかったといえる。

 また、「各出入口等における浸水深については、痕跡調査等から、市道側のバスターミナル工事用出入口が約45㎝」と最も酷いことからすれば、工事の実施にあたり、工事中の降雨に対する対策を講じていなかったことも大きな原因と考える。国道1号近鉄四日市駅交通ターミナル整備事業の実施主体である国土交通省の責任は、2重に重いと考える。


AI裁判官が職業裁判官を駆逐する未来

2025年8月1日

弁護士 村田 正人

 先般、裁判所で裁判のデジタル化に向けての協議会があった。裁判所から出されたテーマは、来年7月以降、民事裁判の書式は全てペーパレス化されることに伴う協議であった。私が理解するところでは、訴状も答弁書も準備書面も証拠書類も、すべての書類がペーパレスとなり、PDF化して裁判所に送信しなければ受理されないことになると理解した。

 そうなると、インターネットに慣れていない弁護士にとっては大問題である。仕事ができず、ミスが続発することになりかねないからである。

 裁判所が弁護士に対して、法廷に来なくても良いとの態度を示すようになったのは、コロナの頃からである。コロナの時は感染の恐れがあるとして、電話会議で手続きを済ませることが主流となった。弁護士は法廷に出席せず、法律事務所から電話で手続きを済ませることができた。これは便利であった。さらに、進んでインターネット上のウェブ会議というものが出現した。ウェブ会議で参加すれば、法廷に行かなくても、法廷に出席したと同じ効果が与えられる。ただし、これを利用するかどうかは弁護士の任意であった。私は、ウェブ会議の勧めがあっても、できる限り現実の法廷に出席するようにしていた。その理由は、裁判所の空気感がWeb会議では読めないからである。裁判官がどのように考え、どのように訴訟を進行させようとしているのかは、裁判所に出廷して空気を読み取る作業である。画像を通した会話では、空気を読み取ることができない。そもそも、裁判とは裁判官の空気を読み取る作業であった。法廷における直接主義とは法廷で弁護士が口角泡を飛ばして弁論をし、それを裁判官が聞くのが基本であった。それが、いつの間にか形骸化し、書面を出せば書面を読み上げたことにすると言う擬制が進んだ。その結果、裁判所が果たして書面を読んでいるかわからない、スルーされているかもわからないと言う懸念がいつもつきまとうようになった。これを払拭するためには、法廷に出て、裁判官がどのような審理方針であるのかを読み取ることが必要となってきた。私が法廷に現実に出席している理由はそれである。

 ところが、来年からすべてペーパレスと言うことになり、すべての書類をPDF化して提出すると言うことになれば、インターネット上の会話で全てが終わってしまう異次元の法廷が出現することになる。裁判官の中においても、インターネットを得意とする若い裁判官は得々としてその効用を語るが、熟練した年配の裁判官は、インターネット裁判については、黙して多くを語ろうとしない。おそらく、インターネットにはそれほど精通していないのであろう。

 インターネット化が進むことによって、年寄り弁護士は、機械音痴の場合、淘汰されていくことになるだろう。また 、弁護士一人の法律事務所や弁護士一人で事務員一人の小規模法律事務所も、対応ができないときは、淘汰されていくことになるかもしれない。法律知識に問題があるから淘汰されているのではなく、機械音痴であるから淘汰されていくと言うのはいかにも不合理な話である。

 学生の頃、郵便ポストの入り口に裁判書類を入れれば、下の方から判決が出てくる時代が来るのかと議論したことがあったが、今の時代、インターネット裁判が進めば、いずれAIが裁判する日がやってくるかもしれない。すなわち当事者双方の書面や証拠をインターネットで裁判所に送れば、AIがそれを読み解き、判決をする時代が来るかもしれない。そうなれば、今、得々として、インターネット裁判の効用を説いている若い裁判官も、いずれ、あなたたちもAI裁判官にとって変わられるのだから覚悟しておいたほうがいいと、苦言を呈したくなるのである。

 私は現在77歳、周囲の人々力を借りて、インターネット裁判にどうにかついていっている。よく77歳でフォローしていると感心されることがある。しかし、果たして、今後、ペーパレス裁判に対応できるかどうかは、分からない。正義を実現するための法廷から撤退するつもりはないので、自己研鑽を続けるつもりである。


廃コンテナの2段積みは、建築物か?

2025年1月1日

弁護士 村田 正人

 金属リサイクル業者が隣接民家との境界線付近に立てた鉄製架台の廃コンテナ2段積みの構造物(高さ約7m、幅約30m)は、建築基準法違反の建築物か。

 問題が生じたのは、平成29年11月である。金属リサイクル業者は、空き地に移転してくると、そこで鉄くずやアルミニウムなどの金属屑を圧縮して同業者に転売する商売を始めた。通常は、建屋を建築して騒音被害が出ないように配慮して作業をするのものであるが、当該業者は青空操業をしていた。

 ユンボを使い、鉄箱の中で金属を潰す作業や移動の際に大音響の金属騒音が発生し、隣接住民の健康被害(耳鳴りや不眠など)と生活被害を引きおこしていた。

 このような場合の法的規制としては、騒音規制法に基づく規制がある。工業地域であるため、午前8時から午後6時までの騒音規制値は、65dBと定められている。ただし、工場騒音などの変動騒音に適用される「90%レンジの上端値(L5)」の規制である。

 隣接家族は、津地裁に申立てをして、境界線付近で65dBを超えて操業してはならないとの仮処分決定を得たが、業者は決定を無視して操業を続けた。そこで、間接強制の申立てをなし、津地裁は違反1日につき5万円の違約金を支払えと決定をした。しかし、業者はこれも無視して操業を続け、令和6年6月の勝訴判決まで7年余りの年月を要した。

 この間、業者の防音壁は、薄い鉄板の4m塀と裾空きの6m塀と廃コンテナの2段積み構造物だけであった。

 義務づけ訴訟で、津地裁は、廃コンテナを2段積みしたものは、屋内的利用がないから(ヒトがコンテナ内の空間に入らないから)、建築基準法の建築物ではないと判断したが、騒音防止訴訟では、倒壊の危険のある構造物であると認定し、人格権に基づく撤去請求を認めた。

 国土交通省の通知は、屋内的利用伴う廃コンテナの使用は、安全性に配慮して使用を規制する通達をしているが、ヒトが空間内に入らない場合は対象外であるとして運用されている。し、屋内的な利用をしない廃コンテナの多段積みについても、倒壊事故が起きないように早急な法改正が必要と考える。
注1:国土交通省「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」(平成16年12月6日付け国住指第2174号) 
注2:「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」(平成26年12月26日付け国住安第5号)


金属スクラップ業者の騒音差し止めを認めた津地裁判決

2024年8月10日

弁護士 村田 正人

 津地裁は、令和6年6月6日、松阪市内の金属スクラップ業者に対し、隣家との敷地境界線上において、5%時間率騒音レベル(90%レンジの上端値)(L5)で65デシベルを超える騒音を発生させて操業してはならないとの判決を言い渡しました。判決は、騒音の差止めとともに、慰謝料と物的損害として、原告4名に対し、総額679万円の支払いを命じました。また、業者が騒音防止のためと称していた廃コンテナを2段積みした構造物を、倒壊のおそれがあるとして撤去を命じまた。


 裁判は平成29年に始まり、判決まで実に7年を要しました。その間、原告ら家族は、松阪市と三重県環境保全事業団が使用しているのと同じリオン製の騒音測定器を使って、騒音測定を続けました。また、自宅の高所から業者の違法操業の様子をビデオで撮影し続けました。監視の結果、L5で65デシベルを超える騒音を発生するのは、業者がトラックの荷台に金属スクラップを積んで重機で叩きつける時や、運搬車や保管場所に積み上げ積み下ろしをして重機を稼働させているときであることが証明できました。

 業者は、騒音の原因は、市道の自動車騒音とか、雨風の騒音であると言って責任逃れをしようとしました。しかし、市道の交通量が多いのは朝夕の通勤時だけであり、昼間は交通量も少なく閑散としているため、とても自動車騒音によるものとは言えないことは明らかでした。雨風の自然現象も騒音計に影響をするようなことはありませんでした。

 L5の意味については、なかなか裁判所の理解を得にくいところでしたが、音響学の専門の先生のご指導を受けて、その意味を裁判所に理解してもらうことができました。判決後、業者は控訴をする一方、事業場や動産を売却して強制執行を免れようしており、騒音被害のない跡地になるのか、損害賠償の被害回復ができるのか、最終的な解決はまだまだです。


 裁判に7年間も要したのは、青空操業をしている金属サイクル業者の騒音や振動が野放しであり、行政の改善命令や措置命令で直接規制する法律や条例が三重県や松阪市にはないためです。松阪市がした騒音測定は1回だけであり、業者は松阪市の測定が済むと騒音を出し放題でした。1回の測定だけでそのあとは放置するようなことでは、とても市民の生活や健康を守れません。今後は、裁判によらなくても、県や市が騒音や振動を出し放題で操業している金属スクラップ業者を、直接規制することができる条例の制定が必要であると考えています。
(注1)L5とは、10分間の騒音測定値を高い方から並べて5%のところに位置する数値のこと。等価騒音レベル(時間平均値)と混同してはならない。
(注2)金属スクラップは有価物とされ、廃棄物処理法が適用されないため、千葉市では、全国初の「千葉市再生資源物の屋外保管に関する条例」を制定し、令和3年11月1日から施行して、業者の義務を定めています。


ネット社会と金融機関への提言

2024年1月1日

弁護士 村田 正人

 携帯電話の普及とネット社会の拡大により詐欺犯罪の様相も面談詐欺からネット詐欺と大きく変化している。昨年経験した事例では、LINEによる勧誘で、儲け話の広告に反応した人が詐欺にあった事例をいくつか経験した。ネット犯罪の特色は、詐欺集団の拠点が日本国内にはなく海外にあることである。昨年世間を揺るがした広域強盗事件のルフィ事件はその典型である。詐欺集団は、日本の警察力が容易に及ばないところで暗躍している。海外を拠点におく詐欺集団は、日本国内に闇バイトをおき、日本国内の闇バイトを使い金融機関の銀行口座を買い取っては、被害者から騙し取った金を闇バイトの口座に振り込ませて足がつかないようにしている。振込口座も対面銀行ではなくネットバンクが悪用されている例が多い。そのため、闇バイトの振込口座も全国各地に散らばっている。闇バイトの口座開設や売買は、組織犯罪処罰法や犯罪収益移転防止法違反の犯罪行為である。


 ところで、弁護士による闇バイトの責任追及に支障をきたしているのが金融機関の個人情報を盾にした不誠実な対応である。振込口座の口座名義人は、カタカナ名と口座番号しかわからないから、それだけでは闇バイトの漢字の氏名や住所を特定できない。そこで、被害者から相談を受けた場合には、弁護士照会で当該口座名義人の漢字の名前と住所を照会するのであるが、金融機関によっては、顧客の同意を得られないことを理由に回答を拒否してくる例がある。昨年経験した例では、投資詐欺において、みずほ銀行某支店は顧客の同意を得られないことを理由に回答を拒否した。当該口座には多数の口座凍結要請が弁護士から寄せられているはずであり、当該口座が詐欺集団に使用されている事は十分に推定できているにもかかわらず、口座情報を回答しない事は、金融機関が詐欺集団を隠蔽していることになると強く抗議したところである。イオン銀行の場合は、照会に応じて口座開設者の漢字名と住所を回答してきたが、それ以上の情報は、裁判所の調査嘱託でなければ応じられないとの回答をしてきた。金融機関によって取り扱いが異なるのは納得のいかないことである。マネーロンダリングを防止し、詐欺集団による金融機関の悪用を防ぐためには、口座凍結要請に応じるだけではなく、闇バイトの住所や氏名も被害者弁護士に対して速やかに開示するよう是正措置が取られるべきであると考える。このような是正は、法改正を待たなくても各金融機関の内規で取り決めをすれば済むことである。金融機関の社会的使命に照らせば、複数の弁護士から口座凍結要請があった口座については、詐欺集団による闇バイトの口座であるとの推定が働くとして、被害者弁護士に対し、速やかに弁護士照会に応じるように金融機関の体制を改めるべきであると提言する次第である。特に顧客の同意がないことを理由に回答を拒否したみずほ銀行に対しては、強く是正を求めたい。闇バイトの解明は、組織犯罪集団の解明の手掛かりとなる重要情報であり、警察を動かす重要情報であるからである。


光海底ケーブルと漁業補償金

2023年8月20日

弁護士 村田 正人

 インターネットは、世界中のコンピュータを接続するネットワークだが、クラウド(雲)という言葉が用いられるので衛星通信を使用していると誤解している人がいるのではないだろうか。実際は、光ファイバーを内蔵した海底ケーブルが通信の主流である。三重県志摩市の安乗地区にはNTTコムの陸揚げ局があり、甲賀海岸にはKDDIの陸揚げ局がある。10年前の東日本大震災では、北茨城(茨城県)、南房総(千葉県)など関東の陸揚げ局では多数のケーブル切断事故が起きた。幸いにして、志摩市の陸揚げ局の海底ケーブルは切断被害を免れた。地理的優位性からKDDIは甲賀地区に数本、NTTコムは安乗地区に数本の光海底ケーブルを陸揚げしている。

 問題は、ケーブルが共同漁業権の漁場に敷設されることである。車エビ(宝彩エビと呼ばれ築地市場でも髙評価)や伊勢エビなどの漁が影響を受ける。このため、NTTコムは平成26年の敷設時に三重外湾漁協(安乗地区)に対し1億7510万円の漁業補償金を支払った。令和元年の敷設時にも、1億7510万円を支払った。また、KDDIは平成27年の敷設時に1億円の漁業損失補償金を支払い、令和元年の敷設時にも1億円を支払った。

 これをどのように配分するかであるが、三重外湾漁協は、地元の5人の委員からなる安乗地区漁業権管理委員会に配分をまかせた。管理委員会は配分委員を選んでした。ところで、三重外湾漁協は、大中小の漁協が合併を繰り返してできた三重県で最大の漁協である。地元の安乗地区のことは地元で決める方針はよいとしても、正組合員と准組合員で400名余の組合員の総会(総会の部会という。)を開いて決めるか、それとも5名の管理委員会が選んだ配分委員で決めるのか、どちらが民主的かという問題である。

 答えは明らかである。千葉県千倉の漁協では総会を開いて配分を決めたという。総会無視の三重外湾漁協に対して、組合員2名が配分手続の違法と配分の不公正を唱えて津地裁に代表訴訟を提起している。


LGBTQと旧統一協会

2023年1月10日

弁護士 村田 正人

 オーストラリアのシドニーは南半球にあって青い海と白い雲のコントラストが鮮やかな夏の季節である。2月になると3大祭りのひとつである年に1度のLGBTのお祭りマルディ・グラが始まる。数年前、シドニーの歴史的建造物である裁判所のダーリングハーストコートを見学に行ったとき、至る所でレインボーカラーを見かけ、大規模なパレードの様子がテレビ放映されていた。街をあげてのお祭りだ。多国籍、多文化国家のオーストラリアでは、2017年12月に同性婚が合法化されている。2か月にわたって同性婚の是非を問う国民投票が行われ、賛成が61.6%、反対が38.4%で賛成が反対を大きく上回った民意を反映した法制化である。

 日本でもここ数年、LGBTQ(性的マイノリティ・性的少数者)の権利擁護の議論が盛んとなってきた。しかし、反対する勢力も根強い。ジェンダーやLGBTの自由度を「行き過ぎたもの」として阻止しようと、政治的指向性を同じくする自民党議員に働きかけてきたのが、旧統一教会とその政治団体の「国際勝共連合」である。憲法改正の議論でも、旧統一教会との関係で注目されているのが、自民党が2012年にまとめた「憲法改正草案」である。東京新聞は《旧統一教会側と自民党、改憲案が「一致」、緊急事態条項、家族条項…濃厚な関係が影響?》という記事を掲載し、旧統一教会の政治部門とされる国際勝共連合(勝共連合)の改憲案と、自民党の改憲草案が、「緊急事態条項」や「家族条項」などで一致していると指摘している。

 憲法改正論者に中には、家父長制の「家」制度を否定して男女平等の礎となった憲法24条の考えに反対し、「伝統的家族」を志向する保守的な立場から「家族保護条項」の創設を唱える者もいる。

 選択的夫婦別姓は、平成27年12月16日の最高裁判所大法廷判決で、国家賠償請求訴訟の訴えが退けられ、夫婦同氏規定(民法第750条)は憲法第24条に反しないとの判断がなされた。しかし、裁判官15人のうち女性3人を含む5人は憲法違反であるとの意見を表明している。裁判所での解決が期待できないのであれば、国会で解決するしか方法がないが、同性婚やパートナーシップ(お互いを人生のパートナーとし、日常の生活において相互に協力し合うことを宣誓した二人の一方又は双方が性的少数者)の法制化は、旧統一教会や国際勝共連合の国会議員へのロビー活動が盛んであればあるほど、その実現は困難のままに終わるだろう。

 世界に目を向けると、アメリカ合衆国の連邦裁判所が、昨年6月24日、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた1973年の最高裁判決を覆し、中絶を規制する法律を容認して、女性の権利を否定する判断を下した。元大統領トランプの裁判官人事を色濃く反映した結果である。

 女性の社会進出に関しては、ノルウェーをはじめとして「クオータ制」を憲法や法律で取り入れている国がある。「クオータ制」とは、政党の候補者や会社役員に女性の割合を決めて義務化する制度である。1988年にノルウェーで「公的機関が4名以上の構成員を置く委員会、執行委員会、審議会、評議員会などを任命または選任するときは、それぞれの性が構成員の40%以上選出されなければならない」という男女平等法ができたことに始まるとされる。

 民意を反映した法制度の改革は、子供や孫の世代に対し、よりましで快適な社会を築くための世代間の責務である。


津市長選を令和5年4月25日に控えて考えること

2022年8月17日

弁護士 村田 正人

 津市が元相生町自治会長に渡した資源物持ち去り防止パトロール事業の5284万円は未だに返還されていない。前葉津市長は、元相生町自治会長を相手取り不法行為に基づく2912万円の損害賠償請求訴訟を起こしたが、5284万円の詐欺被害にあったと言いながら、津警察署に刑事告訴の手続きも取らずに放置している。しかも、元相生町自治会長に請求している金額は、2372万円を損益相殺した残額の2912万円だけである。

 これでは、津市長の本気度を疑わざるを得ない。
 何故、津市長は、元相生町自治会長の詐欺被害にあった全額の5284万円を請求しないのか、何故、津市長は、元相生町自治会長を詐欺罪で告訴しないのか、その真相に迫るため、津市民の元市議の人達が2つの住民訴訟を起こしている。

 1件目は、津市長は、元相生町自治会長の詐欺被害にあったのではないのではないのか。元相生町自治会長の不当要求行為に押されて、本来、パトロール事業を頼むのであれば、他の地方自治体がしている警備会社に依頼すべきであったのではなかったのか、あえて元相生町自治会長に頼んだのは、騙されたということで済む問題ではなく起きるべくして起きた市政の行政ミスではないのかを問う訴訟である。

 2件目は、資源物収集前夜の午後9時から当日の午前8時30分までの間、津市が頼んだ廃棄物処理業者の収集車が集めにくるまでの間、何故、2度手間となるパトロール事業を元相生町自治会長に頼んだのか、何故、騙されたことがわかったあとも、津市の仕事の代わりをしてもらってなどと言って損益相殺の理屈をつけて、一部の請求しかしないのか、これは、いまだに慣れあい行政を続けている証拠ではないかを問う訴訟である。

 そもそも津警察署には元相生町自治会長を4件の詐欺事件を告訴したにもかかわらず、詐欺の被害額が5284万円を最大であるパトロール事業費の詐欺事件を告訴しないので見逃しているのは、元相生町自治会長と市政との癒着行政が続いているとの誹りを免れないものと言えるだろう。損益相殺をして「おまけ」をしていた違法性と告訴をしない癒着行政の違法性を是正するためには、令和5年4月25日に任期を迎える津市長選で再選を許すのかどうか、保守と革新とを問わず津市民の感性が問われている。


【事件最前線】津市資源物持ち去り防止パトロール業務委託費の住民訴訟

2022年1月1日

弁護士 村田 正人

 もと相生町自治会長は、津市補助金の詐欺事件4件で起訴され有罪判決を受けた人物 であり、津市職員に対する土下座、丸刈りの強要などの不当要求行為を行っていた者である。もと自治会長は、平成26年秋ごろから、敬和地区で持ち去りが多いため、資源物のゴミ出しの日にパトロールを実施してほしいと要求しはじめた。自治会長の要求により、津市環境部は、平成24年1月から職員によるパトロールを強化した。市職員によるパトロールは、1回あたりの出勤車両台数は4、5台、職員8人ないし10人で、前夜は午後6時から午後9時まで、当日は午前5時30分から午前8時まで、古紙類と金属を対象としてパトロール回数を上げて実施することとなった。しかし、パトロール回数を上げたため、環境政策課資源循環担当職員だけでは対応できなくなり、環境部長をはじめ、環境政策課職員、環境保全課職員、環境事業課職員、環境施設課職員、新最終処分場建設推進課職員の応援が必要となり、環境部あげての取り組みをせざるを得ない状況に追い込まれた。このような状況のもと、自治会長は、平成27年2月ころ、「全部のパトロールを今後も市職員だけで継続していくと大変だろうから、自治会委託にしてはどうか。」と持ちかけ、自治会委託方式を採用するよう執拗に求めた。その一方で、ゴミ収集に関する苦情を申し立て、また、連日、知人男性が傍若無人に大声をあげては環境政策課長との面談を強要した。このような経緯の中、環境政策課長の丸刈り事件、環境部長の土下座事件も起きた。つまるところ、津市の資源物持ち去り防止パトロールの自治会委託は、不当要求行に屈して採用された事業であった。

 津市は、平成27年7月1日から令和3年2月12日までの間、相生町自治会との 間で、資源物持ち去り行為防止パトロール業務委託契約を締結したが、パトロール業務は、車両1台当たり自治会員が2人1組で乗車して行うものとされ、一時集積所にごみ出しされた新聞と雑誌を運搬車で運ぶ仕事であった。津市が、上記期間に百五銀行津市役所出張所の相生町自治会環境部会名義の口座に振り込んで支払った委託料の総額は5284万5015円にのぼる。

 ところが、自治会委託とは名ばかりで、非自治会員の作業員がパトロールに従事したり、作業員1人でパトロールしたり、津市職員を動員してパトロールするなど「したい放題・やりたい放題」を繰り返し、自治会委託の名のもとに総額5284万5015円を津市は騙し取られた。津市は、このうち2912万5637円をもと自治会長に請求して津地裁で裁判中である。

 しかし、多額の公金の流出は、もと自治会長だけの責任ではない。もと自治会長の不当要求行為を恐れ、パトロールが適正に行われているかどうかを検査もしないまま、多額の業務委託費を支払い続けてきた津市職員にも責任がある。なによりも、職員が、もと自治会長の不当要求行為に右往左往していることを漫然と見過ごしてきた津市長前葉泰幸の責任は大きい。自治会委託のパトロール事業は、全国どこにも前例のない異例の事業である。オンブズマンを自負する津市民は、津市長前葉泰幸をはじめ、パトロール事業の財務会計行為を決済した津市職員に対し、津市が被った損害5284万円余を賠償させるべく住民訴訟を提起している。


元相生町自治会長の詐欺事件について

2021年8月13日

弁護士 村田 正人

 もと津市相生町自治会長は、津市の告訴により補助金詐欺事件で起訴されたほか、津市からの補助金の返還請求を受けて約1060万円を返還した。しかし、「資源ごみの持ち去り防止パトロール事業」などの委託料をだまし取られたとして約3000万円を追加請求された件については、令和3年6月30日現在、返還されたとの報道はない。

 元市議の豊田光治さんと和田甲子雄さんは、令和3年1月、津市民のオンブズマン活動として、津市政と相生町自治会長の癒着に関する公開質問状を出した。

 土下座・丸刈り事件、縁故飲食店での津市幹部職員参加による毎月のような誕生会の開催、ごみ箱設置の補助金として突出した年間135万円の支払い、公共事業の落札業者が自治会長との面談を実現できず工事を辞退させられるなど、およそ公正であるべき津市幹部職員と元相生町の自治会長との癒着について、津市民が納得のいく釈明を求めてきた。

 津市は、令和3年5月27日、顧問弁護士2人による「津市自治会問題に関する最終報告書」を公表し、津市幹部職員と津市相生町自治会長癒着の経緯を明らかにしている。

 豊田光治さんら18名の市民は、津市からだまし取った補助金を返還させるように住民監査請求を申立て、その結果、津市監査委員は、詐欺罪で起訴された3件について、令和3年6月14日まで返還を請求するための措置を講じるよう勧告した。冒頭の約1060万円の返還は、このような住民監査請求の成果である。

 さらに、豊田光治さんら19名の市民は、「資源ごみの持ち去り防止パトロール事業」の委託料として、平成27年7月から令和3年2月までの間に支払われた5280万円の返還を求める住民監査請求を申し立てた。これについては、津市が、監査結果が出ていないにもかかわらず、冒頭の約3000万円の返還を請求する事態となっている。

 しかし、「資源ごみの持ち去り防止パトロール事業」は、環境施設課長を丸刈りに させ、環境部長を土下座までさせた元相生町自治会長が、執拗に津市に持ち込んだ事業である。四日市市のパトロール事業(監視活動)は警備会社への委託をしており、非営利団体である自治会委託はしていない。自治会に営利事業をさせることはあってはならないことである。「資源ごみの持ち去り防止パトロール事業」の委託費5280万円は、相生町自治会の会計報告には記載されておらず、元相生町自治会長の個人事業である。このような不明朗な公金の流出は、全額の返還がなされなければ、津市市民の納得が得られるものではないだろう。全額返還請求の必要性は、住民監査請求の代理人弁護士としてだけではなく、一市民としての所感でもある。





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