明けまして,おめでとうございます。
昨年から続く新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の全世界的危機は,いまだ終息する状況にありません。新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の早期終息に向けて,国際社会は,対立や軍拡競争を止め,相互協力して危機を乗り越えるべきです。
国際社会の対立や軍拡競争を防止するため,新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の全世界的危機のもとにおいても,立憲主義を堅持し,平和憲法である日本国憲法を擁護していく必要があります。
ところが現在,感染防止の必要性を過度に強調して憲法に緊急事態条項を新設する動向や敵基地攻撃能力保有を含む新たな安全保障政策を策定する動向など立憲主義の堅持や平和憲法である日本国憲法の擁護に逆行する動向が見られます。
私たちは法律家として,本年も,立憲主義を堅持し,平和憲法である日本国憲法を擁護する活動を続けてまいります。本年もよろしくお願い申しあげます。
弁護士 石坂 俊雄
風子:爺、菅総理大臣が、デジタル庁を創ると言っているがどんなものなの。
爺 :どんなことするのかよく分からないが、行政のデジタル化を進めるというが、理由は、新型コロナによる10万円の給付がうまくいかなかったので、行政をデジタル化すればうまくいくと考えているようだね。
風子:ということは、また、10万円をもらえるの。そんなことないわよね。それなら本当の狙いは何なのかな。
爺 :昨年の5月に与党は、野党の反対を押し切ってスーパーシィティー法を成立させたんだよ。そこに狙いがあるように感じるね。
風子:スーパーシィティー法て何。スーパーが沢山ある市を造るの。
爺 :そうではなくて、市・町をスーパーにするという意味のようで、AI(人工知能)やビックデータを活用した未来都市を造るようだ。その中身は、行政・企業が持つ様々なデータを分野横断的に収集・整理・分析して車の自動運転、ドローンによる自動配送、キャッシュレス決済、行政サービスのIT化、オンライン治療、遠隔教育、エネルギ-・水・ゴミなどのスマートシステム、防犯・安全のためのロボット監視など、デジタルを利用して生活全般にサービスを提供する町づくりだよ。
風子:行政サービスのIT化は、デジタル庁と同じだね。スマホで何でもできそうで便利になるわね。
爺 :ところが、この制度は、各種の規制を取り払って、企業と行政が持っている個人のデータを自由に使えるようにすることなのだよ。国は、年金納付、納税、介護、医療に対する情報を。自治体は、住民税、住民票、戸籍、教育、下水道の利用状況を。企業は、預貯金、電子決済による購入履歴、インターネットの閲覧履歴、スマホの位置情報、コンビニの監視カメラの情報を収集し、AIが分析するということだよ。
風子:私達の個人情報が丸裸になるっていうことなのね。どこかの国にこのようなことをしているところがあるの。
爺 :中国の杭州をモデルにしているようだ。杭州は、監視カメラ(4000台以上のカメラ)のデータ、AIを使った交通対策、顔認証によるキャッシュレス決済をアリババが運営しているよ。。
カナダのトロントでは、グーグル傘下の子会社が監視カメラのデータによる住民の行動データを利用し、同じようなことをしようとしたが、新型コロナや住民の反対等により計画は頓挫しているね。
風子:政府は、マイナンバーカードと運転免許証や健康保健証を一体化すると言っているわね。
爺 :そうだよ。デジタル庁のいくつく先は、病歴、預貯金の額、収めている社会保険料、購入した本の種類、どこに旅行し、どのホテルに宿泊したか。誰と会ったか等が全て行政に握られてしまうということになるね。
風子:中国では、1億7000万台の監視カメラが設置されており瞬時に顔認証により誰であるか判別ができるようになっているわよね。
爺 :私達が中国のような監視社会を容認するのかということに行くつくね。デジタル庁については、何をするのかキチンとそれこそ監視しないといけないね。
風子:ところで、爺、昨年は新型コロナで走る大会はなかったでしょう。どうしてた。
爺 :大会は、なくなってしまったが、自転車を乗る仲間と一緒に10月に琵琶湖を1週してきたよ。約200㎞を走るのに11時間かかったよ。
風子:それなりに楽しんでるのね。
弁護士 村田 正人
津市の最終処分場は、津市美杉町(町村合併前の一志郡美杉村)の山奥にある。津市役所からは50kmの遠方にあり車で40分もかかる。旧埋立地の白銀環境センターが津市役所から8kmの近距離であったことに比べると格段に遠い。
私が、美杉の山奥に、とてつもなく大きな開発計画があると聞いたのは、平成26年であった。事務所から車を40分走らせ、山裾の駐車場から細い山道を登っていくと、途中にはイノシシの「ヌタ場」(体についた虫を落とす泥場)もある。息を切らせて急峻な山道を20分ほど登ると、眼下にはブルドーザーが見え、山林を切り開いて造成中の最終処分場の建設現場を見ることができた。計画地は、絶滅が危惧される「シャジクモ(車軸藻)」の生息地であった。
地元有志の人たちは、住民監査請求を行い、3度の住民訴訟を津地裁に提訴して問題点を指摘してきた。
津市が美杉の山奥に作った最終処分場は、全国でも例のない「ゴミを埋める前に洗う」という「クローズドシステムの処分場」で、初めての人には、「前洗浄方式」と言われてもピンとこないほど稀なものである。津市は、これを無放流方式の安全、安心な処分場だと宣伝して自賛していた。
ところが、ごみを洗うといっても、超大型の洗濯機に入れてかき回すだけであり、金属くず、ガラスくずと土石類をぐるぐる回して洗濯するので、平成28年4月から稼働を始めると、洗濯槽とベルトコンベアで故障が続いた。予想していなかったガラス片や細かい土砂が洗濯槽の下に溜まり、ベルトコンベアは詰まりがおきて動かなくなった。作業員はスイッチを切っては棒でつつき、目詰まりを落としてはスイッチを入れ、また、詰まるとスイッチを切り、鉄棒でつつくという作業の繰り返しであった。全自動であるはずの前洗浄施設は、人力がないと動かないという皮肉なこととなった。
それだけではなかった。年間8000トンの予定で建設した最終処分場は、新リサイクルセンターから送られてくる破砕不燃残さの量が年間8000トンの予想を大きく下回り、わずか1426トンでしかなかった。そのため、1槽目の埋立期間は15年のところ44年経たないと満杯にならない(津市の説明)という予想外の事態となったのである。2槽目を作ると88年後でなければ事業終了とならない。その間、前処理施設は動かし続けなければならない。
埋立量が少なく、埋立地が延命することは歓迎すべきことであるが、前処理施設が併設されているため、業者(※)へ運転業務委託費として年間9000万円の支払いが必要となっていた。延命すればするほど巨額の維持費がかさむという不経済が露見したのである。
※住重環境エンジニアリング(株)(現:住友重機械エンバイロンメント(株))
訴訟における問題点の指摘の結果、津市は、第2期工事の中止を決定し、年間9000万円の業務委託費を年間3780万円に減額し、薬剤などは津市が直接購入して業者に渡す方式に変更した。しかし、埋立てるごみを、何故、わざわざ、洗ってから埋め立てる必要があるのという根本的な問題は残されたままである。粒径20mm以下の小片にまで破砕する大型破砕機の性能は極めて高く、燃やせないごみの多くが木片やプラスティク片となり、焼却炉に運ばれている。残された問題は、過大施設に公費を投じた津市の責任と前洗浄設備の不要性を明らかにしていく作業である。
弁護士 福井 正明
アメリカ大統領選挙は盛り上がりました。ただ上院議員をジョージア州でもう一人取らないと、バイデン大統領は、予算や法律など、重要なことを決定できません。
さて、今回の選挙速報をネットで検索していて良くわかったのが、州や郡の名前と位置、と得票状況です。よその国の選挙区など普通は興味ありませんが、今回、激戦州の選挙速報を見ていると、アメリカの州とその中の郡の位置が分かり、その州の政治傾向や経済の状況もよくわかりました。
激戦州となったラストベルト(錆びた地帯)は特に注目されました。
グレートレークス(五大湖)の一つ、ミシガン湖に面するミシガン州は最も激戦州でした。トランプ派の武装した男らが民主党の知事を誘拐して殺すことを企てたとして、FBIが犯人らを検挙しました。このミシガン州は、前の選挙とは逆に、民主党のバイデン候補が勝利し、バイデン氏の大統領選挙勝利の起点となりました。
選挙速報をcnnで検索すると、各郡(county)の名前、位置、得票数などが一度に検索できます。ミシガン州の郡は、例えは、北部にはマルケッテ(maruquette)、シャルレブワ(charlevoix)、モントコーム(montcalm)などフランス語源のものがあり、この辺りは、かつてフランスが統治していたことの名残りが伺えます。
中部に行くとカルカスカ(kalkasuka)、オタワ(ottawa)など、インディアンが呼んでいた名前の郡が出てきます。それらの外に、英語由来のグラッドウィン(gladwin)などが混在します。
南東に自動車産業の中心地デトロイトがあります。ポンティアックとかキャデラックという有名なアメ車の名前も、ミシガン州にその地名があります。
そしてこの「ミシガン」という名は、インディアンの言葉で「(野生の)米を食らう人々」を意味し、五大湖周辺では、野生のコメが生えていて、それを食べる部族がいたことを表しています。
この五大湖周辺のラストベルトには、他にも、オハイオ州、アイオワ州など、インディアナ州などインディアン由来の名前の州が沢山あります。その外、北部では南北ダコタ州、アイダホ州、モンタナ州、ユタ州などもインディアンの言葉由来です。
次に今回の大統領選挙のもう一つの激戦州となったアリゾナ州も見てみましょう。
アリゾナ州はアメリカの南西部に位置し、メキシコと長く国境を接しています。人口639万人。内陸最大の規模です。先端産業の展開でカリフォルニアからの人口移動が多くなっています。観光資源としてはコロラド川のグランドキャニオンやフーバーダムが有名です。
今回選挙速報で知った郡の名前を拾ってみると、ピマ(pima)、ユマ(yuma)、コチセ(cochise)、マリコパ(maricopa)、ココニコ(coconico)、ヤバパイ(yavapai)、アパッチ(apache)、モヘブ(mohave)、ナバジョ(navajyo)など、郡の大多数がインデアンの言葉です。
しかも、ピマ郡やマリコパ郡は、アリゾナ州の中心地で、ピマ郡には州第2の都市ツーソンが、マリコパ郡には第1の都市州都フェニックスがあり、ここで勝利したことが、バイデン勝利、ひいては民主党のアリゾナ州の上院議員選勝利に大きく貢献したわけです。
この大都市を建設したのは入植者ですから、「フェニックス」という名前が付いたのは自然です。しかし、その周りのこの土地は何と呼ぶのかという問題が生じたのでしょう。
それをあらわす西洋語はなく、先住民が使っていた、「マリコパ」という、その地区を表す言葉を、そのまま使用したと推測されます。
日常は都市名を使用しますから、この郡名は、都市を含む広い地区を選挙区とするアメリカの大統領選挙や上下院議員選挙の時に現れる、「先住民の文化遺産」と考えることもできます。
これほどアメリカインディアンの文化的遺産を引き継いでいるのですから、自らのアイデンティティーに取り入れて、このインディアンの文化に対し、もっと畏敬や尊崇の念を示してもよいのではないかと思います。
さて、写真にある黄色の機体は1932年から37年まで、「オハイオ州」ミドルタウンで作られた「エアロンカC3」の5分の1の模型です。この模型は30年ほど前に作ったものですが、機体もエンジンも日本製です。アメリカでは実機が今でも飛んでいます。
正確にいうと、この型式はアメリカ連邦航空局によって製造が停止されました。理由は(ワイヤーでは連結されているが)胴体と主翼が構造上結合されていないからです。
しかし、それまでに製造されたものは、検査を受けて合格すれば飛行することができるというルールがあり(グランドファーザー・ルール)、実際に今なお飛行しています。これがアメリカの自由なところです。
残念なことに、模型界では、もうこの機体は作られていません。
模型飛行機産業は、主たる生産拠点が、ベトナムや中国に移り、日米ともに国内産業は衰退の一途を辿っています。しかし、ライト兄弟のフライヤー号をはじめ、実機の歴史の長さ、実機の種類の多さ、機体情報の豊富さでは、やはり、アメリカがはるかに優位性を保っていますので、中小零細企業分野ですが、いつの日か米国の模型飛行機マニファクチャリングが復興することを期待しています。
以上
弁護士 伊藤誠基
【安倍前首相の辞任と改憲問題】
安倍前首相は昨年8月28日持病が悪化したとして突如辞任しました。
2018年には任期中の改憲(特に憲法9条に自衛隊を明記する案)を強く打ち出し,2019年には国民投票を実施し,オリンピック年であった昨年には施行すると力強く訴えていました。
野党はもとより,市民運動などの反対勢力は憲法擁護のため総力を挙げて「安倍9条改憲NO!3000万人署名」運動に取り組み,当事務所でも依頼者の皆様にご協力いただき,多数の署名を寄せていただきました。
安倍前首相は辞任表明後の記者会見で,改憲の機運が盛り上がらなかったことを率直に認めざるを得ませんでした。
辞任のほんとの理由はわからないところがありますが,いずれにせよ,憲法の平和主義を根底から覆す改憲を許さなかったことは市民運動の大きな成果と言えるのではないでしょうか。
【菅首相の出だしが違法行為】
菅首相は昨年9月16日国会の指名に基づき内閣総理大臣に就任しました。
就任早々,日本学術会議が105名の学者を会員に推薦したのに99名しか任命せず,物議を呼んでいます。
日本学術会議は法律によって設立された組織で,各研究分野で突出した業績のある学者を会員に迎え入れるもので,学術の立場から様々な提言をし,しかも政治とは独立して業務を行うことになっています。内閣総理大臣は推薦のあった会員を任命すると法律で定められているものです。
ところが,菅首相は6名の学者を任命せず,その理由を俯瞰的,総合的に考慮した結果だとしか述べていません。これらの学者は過去政府に批判的意見や賛同したことがあり,それが理由だと言われています。
これを支持する元自治体首長を務めたことのある某弁護士は国民から選ばれた総理が税金が投入されている学者組織に民主的統制をするのは問題ないと発言しています。
安倍前首相の時もそうでしたが,最近の政府は,選挙で選ばれた者は,国民的基盤があるので,何でもできると考えている節があります。こういう考え方ですと,国民の多数が賛成すれば憲法は如何様にでも改正できることになります。
しかし,近代の民主主義や人権思想は,例え国民から選ばれた政治家であっても,国民からの信任を裏切ることは許されず,ルール(憲法や法律)を無視したり,私利私欲に走れば,国民は解任し,追放することができるという原則に立っています。
日本学術会議法は,政治介入によって学者の自由な言論が妨げられたり,国民に背を向け政府に安易に追従することがないよう政治からの独立をうたっています。だから軍事研究にも否定的評価を下すことができるのです。総理大臣に任命権があっても,推薦された学者を排除することは,法律上許されず,違法行為となります。
安倍前首相はお気に入りの東京高検検事長の定年延長を国家公務員法を無視して決めてしまうという違法行為を犯しました。菅首相は気に食わない学者を法を無視して排除しました。これらの一連の動きを見ると,政権に忖度する官僚,学者は優遇し,批判する者は徹底的に排除するという恐怖政治の流れが出来つつあることがわかります。
【来る衆議院総選挙では政権転換を】
昨今のコロナ禍では全国民が経済的,精神的な苦難に見舞われています。いつ終息すのか見通しが立っていません。その中にあって,最も厳しい状態に置かれているのは非正規労働者,学生,零細事業者などの方々でしょう。災難は最も弱い立場の人に現れます。同時に社会システムの脆弱さもあらわになってきました。
現政権は新自由主義政策といって,大企業が活動し易くすること,福祉,教育などの分野では経済効率に見合わないものはどんどん削減していくという考えに沿って政権運営しています。保健所の数をかつての半分以下にしたのもその一環で,その結果がPCR検査すらまともにできない社会にしてしまいました。
これから日本の人口はどんどん減っていきます。少子高齢化などもう何十年も前から言われているのに,何の手も打たれず来ました。この間やったのは弱肉強食社会にした新自由主義政策だけです。高度経済成長をもう一度と願わんばかりの東京オリンピックも延期になり,やることなすこと空回りばかりです。
富める者は益々富ませ,多くの国民には自己責任を強調し,国の手助けは死ぬ間際になってからなんていう政権を終わりにしたいものです。
弱肉強食社会に終わりを告げ,国民のだれ一人として取り残されない支え合う社会に転換するためには,政権を変えるほかありません。
今年必ず衆議院総選挙があります。コロナ禍の今,政権を変えるチャンスではないでしょうか。
弁護士 森 一恵
第1 はじめに
2020年6月18日,日本時間の午後8時~午後11時まで,私が所属する国際反核法律家協会(IALANA,International Association of Lawyers against Nuclear Arms)の総会がオンライン会議(Zoom)で行われた。
IALANA総会は,ニューヨークの国連本部で開催予定であった2020年NPT再検討会議に併せてニューヨークに集合して行われる予定であった。しかし,新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の全世界的危機に伴い,集合しての会議開催が困難になったことと,NPT再検討会議の延期に伴い,オンライン会議(Zoom)で行われることになった。
第2 IALANA総会の状況
1 IALANA総会にはアメリカ,オランダ,ドイツ,スイス,ロシア,ポーランド,スリランカ,ニュージーランド,日本など世界各国から,核兵器廃絶や国際紛争の平和的解決を目指す法律家24名が参加した。
2 会議では核兵器の使用と威嚇に対抗する法的・道徳的・政治的規範の強化,核兵器のない世界に向けた活動,核軍縮,人権,気候,持続可能な開発及び将来世代を結び付けること,将来世代へ教育活動,核兵器禁止条約(TPNW,Treaty on Prohibition of Nuclear Weapons)の支持などについて,活発な議論がなされた。核兵器も地球温暖化に伴う気候変動も,全世界に共通する問題であり,人類の未来を脅かす脅威であることは異ならない。核廃絶だけでなく,気候変動にも国際社会が協調して対処すべき必要性を実感した。
3 議論の後は,各国からの活動報告がなされた。私は日本反核法律家協会の取組みとして,日本反核法律家協会では核兵器廃絶や被爆者援護を目指していること,これまでNPT会議や核兵器禁止条約(TPNW)交渉会議には代表団を派遣してきたこと,核兵器禁止条約(TPNW)の早期発効を願うこと,国際社会と協調して「核兵器も戦争もない世界」の実現を目指していきたいことなどを報告させていただいた。
第3 終わりに
核兵器禁止条約(TPNW)は,2020年10月24日に中米ホンジュラスが批准書を寄託し,批准国は50カ国となった。条約の発効に必要な50カ国の批准に要件を充足したことから,本年1月22日には条約が発効することとなる。残念ながら日本は,国連総会第1委員会(軍縮)に提出した決議案においても核兵器禁止条約(TPNW)に触れておらず,核兵器禁止条約(TPNW)に署名・批准する動きはない。私は唯一の戦争被爆国の法律家として,核兵器禁止条約(TPNW)に日本が早期に署名・批准するよう働きかけをしていきたい。今年こそ新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の全世界的危機が早期に終息し,平和を願う国際社会が協調してNPT再検討会議が開催されることを強く願いつつ,私の報告を終了させていただく。
以上